2013年10月11日金曜日

中国の尖閣失敗がもたらした5つの目のもの?:日露平和条約へのロシアの意欲

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●安倍首相とプーチン大統領


中国の尖閣問題処理の失敗は、
 すくなくとも4つ、もしかしたら5つのものをもたらしたのかもしれない。

①.1つは、封印を解いて、眠っていた日本という小竜を甦らせてしまったこと
 第二次世界大戦が封印して眠らせた小竜のシッポを中国が踏んづけてしまったことである。
 アジアで唯一の戦う経験」をもった竜を目覚めさせてしまったのである。
 中国は「戦争経験がない」という圧倒的なハンデを持っている。
②.2番目は、民衆の力を覚醒させてしまったこと。
 官製デモを企画したことで、民衆の力を覚醒させてしまったこと。
 それが直ちに社会不満の引き金になり、当局に向けられ暴動化する可能性が出てきたこと。
 つまり、国内がいつでも火のつく燎原となってしまったこと。
 ためにすべてのデモや集会は危険行為とみなすことになってしまったこと。
③.3つ目は、周辺諸国の動きを軽くしてしまったこと
 これまで中国の強盛外交に怯えて口をつぐんでいたが、日本の復活によってその口を開けはじめたこと。
 さらには進んで中国と日本を秤にかける素振りをとるようになってきたこと。
④.4つには、日本をアメリカのアジアにおける代理人にしてしまったこと。
 中国の台頭によってアメリカは中東とアジアとの二面で動かねばならなくなった。
 しかし、それには無理がある。
 同盟関係にある韓国はいともアッサリ中国化してアメリカを裏切った。
 しかし日本は中国に強硬に対峙した。
 これによって、日本に対する信用はハイレベルとなった。
 そこで日本をアジアにおけるアメリカ代理人にすることになった。
 ために中国はアメリカの前に日本というやっかいものを相手にしなければならなくなったこと。
 つまり「世界の米中関係」の前に、「アジアの日中関係」が立ち塞がってしまったことである。

 さて5つ目だが、それが下記の記事。
 これは是とでるか非とでるかはわからない。
 だが5つ目の可能性として載せてみる。
⑤.ロシアに日露平和条約締結の機運を作ったこと。


2013/10/08 19:33   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013100801002232.html

ロ大統領、平和条約締結「可能」 現実的に作業

【ヌサドゥア共同】
ロシアのプーチン大統領は8日、訪問先のインドネシアで記者会見し、日本と領土問題を解決し、平和条約を結ぶには経済協力の拡大や友好関係が不可欠との考えを示し
「私が思うに、日本とは(条約締結は)完全に可能だ」
と述べた。

また、条約締結に向け
単に夢を見ているだけではなく、現実的計画に基づいて作業している
と明らかにした。

プーチン氏は7日、安倍晋三首相と今年4度目となる首脳会談を実施した。
プーチン氏は8日の会見で、日本との経済関係が近年拡大し、関係が良好だとの認識を示し、こうしたことが平和条約締結のための「条件をつくっている」と述べた。


 なぜ、ロシアがいまになって日本との「平和条約締結」に動き出したのか。
 この条約が締結されるかどうかは北方四島の帰属問題が前提になっている。
 ところが日本は尖閣諸島と竹島で中国と韓国といさかいを起こしている。
 通常なら、ロシアがこれに加わって反日同盟を結成してもいいはずである。
 平和条約なんてとてもとても、とみるのが通常の視点だろう。
 実際、韓国は見向きはされなかったが、この三国同盟を呼びかけている。
 そんな状況にある今、なぜロシアは平和条約締結に意欲を燃やしているのか。
 腑に落ちない、と誰もが考えるところである。

 だが、プーチン大統領は就任後、次々と領土の確定をしてきているのである。
 「未解決はグルジアと日本のみ
というところまで、成果を上げてきた。
 よって次は北方領土である、と考えてもいいことにはなる。
 ロシアの歴史に名を残したいなら、そのくらいの願望をもって当然である。
 
 そんな中で問題となってくるのが中国の動き。
 それは下記の記事に要約されている。
 没頭部分を載せてみる。


jiji.com 
http://www.jiji.com/jc/foresight?p=foresight_10501

ウラジオストクは「中国固有の領土」か?
=始まった極東奪還闘争

 9月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合を開催したロシア極東のウラジオストクは、2年前の2010年、市の創設150周年を盛大に祝った。
 ウラジオストクはもともと中国領で、1860年の北京条約によりロシア領に移管。
 帝政ロシアはこの天然の良港に、「極東を制圧せよ」を意味するウラジオストクという名前を付けた。
 だが、中国の新しい歴史教科書には、
 「極東の中国領150万平方キロが、不平等条約によって帝政ロシアに奪われた」
との記述が登場した。
 中国はある日突然、ウラジオストクを「中国固有の領土」として返還を要求しかねない。
 中露間で歴史的なパワーシフトが進む中、ロシアにとって、尖閣問題は他人事ではない。

■未解決はグルジアと日本のみ

 プーチン大統領は2004年ごろから周辺諸国との国境画定を重視し、次々に成果を挙げてきた。
 ロシアは14カ国と陸上国境を接し、ソ連崩壊後国境画定問題が積み残されたが、プーチン政権はこれまでに、中国、カザフスタン、アゼルバイジャン、ウクライナなどと国境を画定。
 バルト諸国ともほぼ合意した。
 ノルウェーとも懸案の海上国境を画定させたし、北朝鮮との17キロの国境線も画定した。

 プーチン大統領は05年、国民との対話で、北方領土問題の質問に対し、
 「われわれはすべての隣国とのあらゆる係争問題を解決したい。
 日本も含めてだ」
と述べたことがある。
 大陸国家のロシア人にとって、国境が不透明なことは不安感、焦燥感を生むようだが、石油価格高騰で政治・社会が安定したことから、困難な国境問題の調停に乗り出す余裕が生まれた。
 周辺諸国で国境線が画定する見通しがないのは、
➀.南オセチア、アブハジアの独立を承認した対グルジア国境、
②. それに日本との北方領土問題
だけだろう。

<<略>>


 中国いわく、
 「極東の中国領150万平方キロが、不平等条約によって帝政ロシアに奪われた」
ものである、と。
 中国得意の論法で、
 『ウラジオストックは中国固有の領土である
と言い出す可能性が濃厚になってきつつあるということである。
 中国は朝鮮半島の北、すなわち日本海に港をもっていない。
 面している海は朝鮮半島の南のみで、黄海・東シナ海、そして南シナ海である。
 中国としては日本海に面する港をノドから手がでるほどに欲しい。
 それがウラジオストックである。
 もし、中国がその気になって動きだすとするとロシアは追い詰められる。

 ところでこの「150万km2」とは果たしてどれほどの面積になるのか。
 日本の面積が「約38万km2」である。
 つまり、日本の面積の4倍が帝政ロシアに奪われたと中国は主張するのである。 
 「日本の4倍」となると、とんでもない広さである。
 この北方四島の面積は「5千km2」である。
 中国が今後持ちだしてくるであろう固有の領土の「0.3%」に過ぎない。

 中国にとっての最大の敵国はロシアなのである。
 歴史の怨念がこもっているのがロシアである。
 何しろ膨大に長い国境線を地続きで接している。
 日本のように中間に海を挟んでいるわけではない。
 何かイザコザがあって当たり前の関係にある。
 いま中国はロシアからエネルギーと軍事技術を援助してもらっている。
 エネルギーは別の国で代替できるとしても、軍事技術を中国に援助してくれる国はロシアしかない。
 よって、中国はしかたなく「中ロ蜜月」を演出する。
 軍事技術を握中に収めるまではなんとしてでもロシアとは良好な関係を築いておきたいのが本音である。

 ロシアは少し前まで米ソの二大超大国として世界に君臨していた。
 しかし、いまはウクライナやベルラーシが分離独立してロシア一国に落ちぶれてしまっている。
 しかし気分は大きく、何かにつけアメリカと敵対することに意欲することでウップン張らしををしている。
 ソビエトに代わって台頭してきたのが中国。
 ロシアは中国と手を組むことでアメリカに対抗しようとした
 ちょうどいい具合に、中国は食糧とエネルギーと軍事技術不足の国であった。
 中国をうまくつかうことによってアメリカに一泡吹かせようと企んだ。
 そして中ロの両者の思惑が一致して「中ロ蜜月時代」が花開くことになった。

 だが、その時期はすぎつつある。
 中国はロシアからの技術をコピーして国産兵器をつくり、それを売りさばこうとした。
 エネルギー市場と武器市場がロシアの稼ぎ頭でその一部が中国に奪われていくわけである。
 当然、ロシアは激怒する。
 果たして今後、武器技術の供与を続けて’いいものか迷っている。
 さらにはその供与技術がロシアの国境線を脅かし始める可能性も大きくなってきている。 
 いわゆるブーメラン現象が発生する可能性がある。
 ロシアが中国の存在に疑心暗鬼になっていることは確かである。
 
 そこで出てくるのがこの「日露平和条約」である。
 ロシアは中国の抑えに日本を使いたい、それを強く望む状況が周囲に作られはじめている。
 日本は「日露不可侵条約」を一方的に破った相手なので、非常な不信感がある
 果たしてロシアはこの不信感を払拭するような条件を出せるか、つまり四島返還に応じるかどうかである。
 もし、四島返還が前提で話が進まないときはこの平和条約は暗礁に乗り上げる。
 それは、中国とロシアが対峙したとき、日本はどちらも対抗勢力であって、友好勢力ではないと傍観することになる。
 ロシアは将来の中国との対立を見通したとき、日本を味方につけておきたいと思うだろう。
 そしてそれができるのは、
 日本が中国と正面切って対峙’しているこのときしかない
と外交判断するかである。
 北方四島の5千km2をとるか、あるいはそれを捨てて未来の150万km2をとるかである。
 ロシアがどう動くか。
 これも中国の尖閣問題処理の失敗が生み出した、
 とてつもなく大きな外交問題の一つである。




【米韓同盟は小さなパートナーです】


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