●OECD 2010年版
『
JB Press 2013.10.11(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38905
韓国にのしかかる過剰教育のツケ
(2013年10月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
韓国のパク・サンヒさん(21歳)は、新しいタイプの大学中退者だ。
彼が音楽の学位を捨てたのは、ヒッピーの道を歩んだり、次のグーグルを立ち上げたりするためではなく、電気技師として訓練を受けるためだ。
実利主義のパクさんは、今後起きることを暗示する兆候かもしれない。
韓国の国内市場では、
大量の大卒者――高卒者の10人に7人が大学に進学する――
とその後のスキル過多と労働力の活用不足が経済に損害を与えているのだ。
これは、教育が重んじられ、職業の見通しと結婚に直接結び付く韓国だけの問題ではない。
米国も、1兆ドル近くに積み上がった学生ローン債務の結果として、実際利用できる以上の数の高学歴労働力を抱えている。
一方、経済協力開発機構(OECD)諸国では、
大学に進学する18歳の若者の割合は平均で56%
だ。
■雇用のミスマッチ、労働力の活用不足が経済成長の重荷に
だが、韓国は、過剰な教育を受けた労働者を過剰に生み出すことにかけては、リーグテーブルのトップに立っている。
雇用労働省によると、高卒者の人材不足が年間3万人を超えるのに対して、労働市場の需要を上回る大卒者の数は年間約5万人に上ると推定されている。
学ぶことに対するこうした熱意は、過去半世紀に及ぶ韓国の高度経済成長を支えた原動力であり、世界有数の高い教育水準を持つ労働力を生み出した。
だが韓国は、教育にこだわることの影の側面を学びつつある。
労動力が十分活用されないうえ、多くの人が家庭を持つといった費用のかかることよりも教育を追求する道を選ぶことで、極端に低い出生率に追い討ちをかけているのだ。
「過度な教育は、労働力の活用低下につながっており、そのため経済成長の重荷になっている」。
サムスン経済研究所のオム・ドンウク氏はこう言い、大卒者の40%余りが過度な教育を受けていると試算している。
「あまりに多くの若者が大学に進学するため、彼らの労働市場への参加が遅れ、国内総生産(GDP)成長率への労働投入量の寄与度は2009年以来マイナスになっている」
という。
これに対して、1970年から1990年にかけては労働投入量の寄与度は約2%だった。
実際、過度な教育を受けた大卒者が、大学に行かず、高校を出てすぐ働きに出ていたら、GDPを丸1%増やすことができる、とオム氏は試算する。
より高い教育を受けることは、部分的には消去法的な選択だ。
天然資源を持たない韓国では、頼りになるのは、その人的資本を最大限活用することだったし、韓国人は高い教育を受けることが経済力を持つカギになると強く信じている。
そのため、申し分のない大学の卒業証書は、職業、結婚、そしてもちろん賃金に影響を与える。
大学の学位を持つ人は、高卒者よりも平均で33%高い収入を得ている。
これに対して、例えば英国ではこの差は66.7%になっている。
■世界的にも低い出生率に拍車
「韓国人は、反対の証拠が増えているにもかかわらず、今でも大学教育が良い仕事を得る唯一の道だと思っている」。
マッキンゼーは最近のリポートの中でこう述べ、巨額に上る私学の教育費によって、大学教育の正味現在価値は高校の卒業証書の価値を下回っていると指摘する。
「高い教育費は、家族の規模を制限し、出生率を低下させる明確な要因だ」
韓国の家庭は2011年に、課外教育に約20兆ウォンを支出した。
これはGDPの1.63%を占め、多額の家計債務につながっている。
それが今度は国内消費を抑制し、
低い出生率――出産適齢期の女性1人当たりわずか1.2人と世界最低レベルにある――
に寄与している。
大学の学費は平均すると高く――年間給与が2660万ウォンの国で大学の学費は年間730万ウォン――、教育省によると、大学生のわずか15%しか学費を払うためにローンを利用していないため、両親に重い経済的負担を課している。
教育の歪んだ経済性と、高卒者を生産ラインだけでなくホワイトカラーの仕事にも就かせることに前向きな大手企業の姿勢が、既に変化をもたらしつつある。
サムスン、LG、CJ、ハンファなどの企業や大手銀行にもっとインセンティブを与えるため、政府は、高卒者の採用を増やす企業に税制上の優遇措置を与えている。
通信グループのKTは、2010年に高卒者の採用を復活させ、昨年は顧客サービス、マーケティング、営業活動に300人を採用した。
韓国最大の財閥であるサムスン・グループは昨年、高卒者に初めて一部のホワイトカラーの仕事を開放し、ソフト開発、エンジニアリング、その他の事務職に700人の高卒者を採用した。
だが専門家は、韓国企業が雇用慣行を変えるには長い時間がかかるとくぎを刺している。
By Jung-a Song
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JB Press 2013.11.01(金) The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39069
韓国の教育制度:大いなる減圧
(英エコノミスト誌 2013年10月26日号)
1度の重要な入試に向けて、すべての子供が過度に勉強する環境は国家にとって危険だ。
この半世紀で韓国以上に大きな成果を上げた国はほとんどない。
1世代の職業人生の間に韓国経済は17倍に拡大し、同国政府は厳格な独裁主義から騒々しい民主主義へと進化し、かつて検閲に傷つけられた韓国文化は今、音楽や昼ドラ、映画で世界を魅了している。
学者らは韓国の「圧縮された発展」のスピードと早熟に熱狂している。
韓国の偉業に唯一、感動を覚えていないのは、韓国人自身かもしれない。
本誌(英エコノミスト)が特集で指摘しているように、韓国が享受している繁栄は、国民が耐え忍ぶ競争圧力を和らげていない。
■もう1つの「圧縮された発展」
彼らにとっては、国の発展は違った意味で圧縮されている。
韓国の成功は数少ない大手企業・産業に限られている。
韓国では、今やサービス業が大半の雇用を生み出しているにもかかわらず、製造業の方がサービス企業より優れている。
さらに製造業では、同族経営の大きなコングロマリット(チェボル=財閥)の業績は、規模が小さく困窮したサプライヤーよりずっと堅調だ。
当然、野心的な韓国の若者は、経済の中で繁栄している分野での就職を強く望んでいる。
医学、法律、金融、そして政府機関は依然として人気が高いものの、今はチェボルが一番おいしいところを取っていく。
公務員や専門職と同様、サムスンや現代といったチェボルは、一流大学の新卒者を採用する傾向が高く、後で中途入社するチャンスはほとんどない。
この状況は労働市場に二重の障壁を生む。
もともと魅力のある就職先の選択肢が少ないうえに、そこに入社できる現実的なチャンスはたった1度しかないのだ。
そのため、若者は長い時間をかけて履歴書を練り上げ、受験に備える。
18歳で臨む大学進学先を決定する試験の時は特にそうだ。
これは一見、些細なことのように思えるし、多くの欧米諸国は韓国の問題なら何としてでも手に入れたいと願うだろう。
英国や米国の親が10代の子供が勉強しすぎると心配している姿は想像し難い。
韓国は読解、数学、科学のほとんどの国際学力比較でトップもしくは上位入りする。
だが、そこには代償もある。
大半の努力は、深く掘り下げる学習ではなく、費用のかかる学歴偏重主義に向けられているからだ。
韓国の教育制度は、遅咲きの才能を排除する。
25歳で才能を開花させても遅すぎるのだ。
また、非常に長期的に見ると、これは国が小さくなることを意味する。
実際、受験に備えるための子供の教育費は、韓国の女性がこれほど少ししか子供を産まない理由の1つだ。
先進国クラブである経済協力開発機構(OECD)で出生率が最も低い韓国では、人口の高齢化が経済成長と同じくらいのスピードで進む恐れがある。
■教育熱の間接的な治療法
学歴を重視する他のアジア諸国も同じような問題に直面している。
過去に韓国政府は、放課後の塾通いや家庭教師を禁止して親に救いの手を差し伸べようとしたことがある(ソウル国立大学の学長は、我が子に禁止規定を破らせた後、辞任に追い込まれた)。
だが、そのような教育上の禁制は自由主義に反するし、いずれにせよ、2000年には違憲判決が下された。
解決策は学校ではなく経済全般にあり、多くの企業が新卒より後に人材を採用することに関心を持つ、もっとオープンな労働市場を創設するところにある。
政府は3つのことを実行すべきだ。
①.まず、労働市場を実力以上の給料が支払われる正社員と給料が少ない派遣労働者に分ける規制を撤廃することだ。
②.次に、外資を含むより多くの企業に、現在チェボルが牛耳る産業に参入するよう促し、雇用主の幅を広げることだ。
③.そして最後に、チェボルはこれまで外交的な理由からサービス産業への参入を控えてきたが、その参入を後押しすることだ。
小売業、観光業、ローカル輸送などは皆、チェボルの強い影響力と効率性を必要としている。
韓国はその圧縮された発展で世界を驚かせた。
だが、苦労する親と勤勉な若者のためには、減圧が必要だ。
© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月17日 22時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80620&type=0
韓国で高学歴ニート急増、青年層雇用率が低下―韓国紙
2013年12月16日、韓国紙・中央日報によると、韓国で高学歴ニートが増加し、青年層雇用率を下げている。
中国・国際在線が伝えた。
韓国銀行調査総括チームが作成した報告書「青年層雇用現況および示唆点」によると、韓国の産業内両極化構造が「高学歴青年失業者」を量産し、雇用率を下げている。
韓国の青年層(15~29歳)の雇用率は昨年末基準で40.4%で、経済協力開発機構(OECD)の平均(50.9%)よりも相当低かった。
この主な原因として、高学歴化とニート(就学、就労、職業訓練のいずれも行っていない状態)の増加が挙げられる。
2005~2012年の中青年層の人口は40万人減少する一方で、教育機関への通学を理由に経済活動をしない青年は45万人、ニートは15万人増えている。
大企業と一般企業の福利厚生の違いから、多くの青年が大企業就職を求めていることが、著しい雇用率の引き下げにつながっている。
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