2013年11月30日土曜日

「おばさん外交」危機へ:アメリカと中国が交互に韓国へ「不意打ち」を

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レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 7時48分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79851&type=0

「チャイナ・ドリーム」対「アジア回帰」
=難しい立場に追い込まれた韓国―韓国メディア

 2013年11月29日、韓国・中央日報(中国語版)は「『チャイナ・ドリーム』対『アジア回帰』=難しい立場に追い込まれた韓国」と題する記事を掲載した。

 28日にソウルで行われた国防戦略対話において、韓国は中国側に防空識別圏の調整を求めたが、中国側はこれを明確に拒否した。
 朴槿恵(パク・クネ)大統領就任後、北朝鮮の核問題や日本の歴史認識問題において、両国は良好な関係を保ち続けてきた。
 しかし防空識別圏問題においては、中国は譲歩の構えを全く見せていない。

 中国が強硬な態度を取るのは、この問題が日米対中国という対立構造に属するものだからだ。
 米国の封鎖戦略と中国の進出戦略が相まみえ、双方は一歩も後に引かない。
 中国が防空識別圏を設定したのは、米国による中国封じ込め戦略に対処するためだ。
 米外交誌フォーリン・ポリシーは、
 「成長著しい新興強国の中国が、自己の力を見せつけようとする『チャイナ・ドリーム』の試みだ
と指摘している。

 中国の「チャイナ・ドリーム」とオバマ大統領が掲げる「アジア回帰戦略」の衝突は、「アジアパラドックス」を深める結果を招いている。
 アジア諸国間の経済協力は活発に行われているが、政治と安全保障面では不安要素が拡大し、韓国を難しい立場に追い込んでいる。

 特に今回の中国による防空識別圏設定は、今年6月の中韓首脳会談や、中国の楊潔チ国務委員と韓国の金章洙(キム・ジャンス)国家安保室長の対話などにおいて、両国が信頼を築き上げてきた過程での衝突だけに、衝撃は大きい。

 ある政府関係者は、
 「米国が日本の集団的自衛権を支持したことで、韓国は不意打ちを食らった。
 今また、中国が韓国に不意打ちを食らわせた。
 北東アジア平和協力構想への道のりはまだまだ遠い」
と話した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/01 09:38
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/01/2013120100226.html

【コラム】世界は韓国を中心には回らない
同盟とは利益も負担も分かち合ってこそ
政治家たちは非現実的な色眼鏡を外し、世界を直視せよ

 地球が宇宙の中心だと信じられていた時代があった。
 この荒唐無稽(むけい)な天動説が1000年以上も天文学の主流にあったことを思えば、これがいかに当時の人々に気に入られ、安心させてきたかが分かる。
 事実、そのように信じても生きていくのに何の支障もなかった。
 だが、最近のこの国の政治家たちのように「世界は韓国を中心に回っている」と誤解し、行動するのは危険千万だ。
 このところ韓半島(朝鮮半島)の外から聞こえてくる氷の割れるような音は「韓国版天動説」に対する警鐘だ。

 米国防総省高官が先日、韓国が嫌がる日本の集団的自衛権行使に関連し、
 「北東アジアの脅威に対抗する強力な抑止力になるのは米日韓。
 これには北朝鮮の脅威も含まれる」
とクギを刺した。
 集団的自衛権とは、日本の同盟国である米国が第三国から攻撃を受けた場合、日本に対する攻撃として受け止め、日本が反撃する権利のこと。
 集団的自衛権はあらゆる同盟の中核要素だ。
 国連憲章も主権国家固有の権利として認めている。
 それでも日本は過去の侵略の歴史を反省する意味と、平和憲法の精神に反することを理由に、この権利を行使しないとしてきた。
 集団的自衛権行使の留保という壁を乗り越えるよう日本の背中を押してやったのは米国だ。
 日本の変化の背後には米国の変化があったのだ。

 その翌日だったか、米大統領補佐官(国家安全保障担当)はある講演で
 「日本は初となる国家安全保障会議(日本版NSC)の創設を準備している。
 (私の)日本側パートナーと懸案を話し合う日を心待ちにしている」
と述べた。
 かなり露骨な表現だ。
 この補佐官はまた、米国にとって最優先の経済の関心事が米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を成功させることで、オバマ大統領が来年4月のアジア訪問を計画していることにも言及した。
 日本は、国内の利益団体の反対を押し切り、すでにTPP参加の意向を明らかにしている。
 日米はオバマ大統領の訪日について協議しているという報道も流れた。

 「歳月には勝者はない」という言葉は、同盟関係にも敵対関係にも当てはまる。
 1998年6月25日、クリントン米大統領(当時)が訪中した。
 日本の指導者たちは、中国に行きながら日本に立ち寄らずに帰国してしまった同大統領の9日間にわたる訪中期間中、ずっと米中の顔色をうかがっていた。
 「漂流する日米同盟」と懸念する声も多かった。
 2年前には米国の高官が
 「日中が領有権を争っている尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題は、日米同盟に基づき米国が保護しなければならない事案ではない」
と述べ、「何か裏があるのでは」とささやかれた。
 中国に対する恐れと米国に対する疑念が相まって生じた心理的パニック状態だった。

 そんな状態だった日米関係が「つうと言えばかあと答える」仲に変わった。
 米国は今にも尖閣諸島問題に関連して日本の立場を堂々と擁護するため立ち上がりそうなムードだ。
 共に中国に対する恐怖を抱いている日米両国は互いの疑念をかき消し、同盟の利益と負担を調整し直したのだ。

 米国は、中国が力を持てばいつまでも現状に満足している国ではないだろう、と考えるようになった。
 米国を代表する政治理論専門家は10年前、
 「中国の経済規模は、もし中国人1人当たりの国民所得が韓国と同じになれば、2001年の米国経済規模の1.5倍に達する。
 また、もし日本人1人当たりの国民所得の半分程度になれば、米国の2.5倍以上になるだろう」
と予測した。
 現在の中国経済の成長速度はこうした10年前の計算をはるかにしのいでいる。
 1945年から90年までの冷戦中、米国のライバル国だったソ連は、経済規模が米国の半分を超えたことが一度もない。
 中国の経済力が軍事力に転換されるような事態を米国が懸念するのは極めて当然な反応だ。

 米国では以前からこうした状況に備え、現実的なパートナーとして日本を考えてきた。
 日本は待っていたかのように米国の期待に沿おうとしている。
 北朝鮮をターゲットとしているが、実は中国を狙っているはずのミサイル防衛網(MD)構築にもためらう様子がない。
 日本が「日米新蜜月時代」に乗じ、米国の全面的な信頼を背景に韓国を飛び越え、中国に首脳会談を提案したという話ももっともらしく広まっている。
 いつか見たような光景がよみがえってきた。

 北朝鮮という問題児が隣にいる韓国の選択は、最強国の米国ほど自由自在でない。
 島国の日本のようにスッパリと二者択一するのも難しい。
 「韓米同盟」と「韓中友好」のはざまでバランス問題の正解を出すには、国を挙げて知恵を絞り、手探りしていくしかない。
 その際には「韓国は韓半島(朝鮮半島)統一ムードが熟せば『韓米同盟縮小』と『統一に対する中国支援』を取り換えるだろう」というブレジンスキー元米大統領補佐官の言葉が、個人的な疑念ではないということを常に念頭に置くべきだ。

 「世界は韓国を中心に回っている」と信じるのは危険千万で何の根拠もない「政治的天動説」に過ぎない。
 この色眼鏡を外さなければ、韓国も世界も見えてこない。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/01 09:37
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/01/2013120100225.html

【コラム】「韓国と日本、米国とより親しいのはどっち?」

 昨年春、ワシントン名物「桜祭り」のときのことだ。
 日本が1912年に3020本の桜をプレゼントしたのを機に始まったこの祭りが100周年を迎えたことから、日本はこれを「日米関係復活」の象徴にしようと、文字通り総力戦を展開した。
 桜祭りをサポートするための外交官を別途派遣したほどだ。
 しかし、異常ともいえる暖冬の影響で桜は例年より1カ月以上も早く咲いてしまい、祭りが始まるかなり前の3月下旬には既に散ってしまった。
 日本があれほど一生懸命準備していた公式行事は「桜のない桜祭り」になった。
 そのとき「天も日米関係に味方してくれないのか」と言った日本の関係者のため息が昨日のことのように思い出される。

 これはわずか1年半前のことだ。
 当時ワシントンで感じた米日関係は、事実これまでで最も冷え切っていた。
 日本の不安な政治状況や米軍普天間基地をめぐる確執が相次ぎ、米当局者の間で「日本を信じられない」という話が公然と飛び交っていた。

 焦りを見せるワシントンの日本大使館とは違い、韓国大使館は余裕しゃくしゃくだった。
 韓米自由貿易協定(FTA)締結、李明博(イ・ミョンバク)大統領の国賓訪問、上院・下院合同演説といった好材料が続き、オバマ大統領は演説するたびに度が過ぎるかと思われるほど頻繁に「コリアの経済の奇跡と教育熱」を賞賛した。
 「韓米関係がこの調子で続くなら、外交官としてやりがいがある」
と言った韓国人外交官の言葉は当時の状況を象徴している。

 しかし、最近のワシントンの空気が当時と違うことは既にご存じの通りだ。
 韓米間に何か問題が発生した訳ではないが、これまでの状況を考えると米日関係の「反騰」はあまりにも劇的だ。
 米国に対して素っ気なかった以前の日本の民主党政権とは異なり、対米外交に全てを懸ける安倍晋三首相に対し、米国が前向きに応えているからだ。
 今年初めに安倍首相がワシントンを訪れて「日本が帰ってきた」と宣言したときには「オーバーだ」という声が多かったが、今これを疑う人は一人もいない。
 要請する前に安全保障の負担を分かち合おうとし、ラブコールを送り続ける日本を見る米国の目はこれ以上ないほど柔らかくなった。

 ワシントンにいる各国大使たちも接し方に苦労しているジョン・ケリー国務長官が先日、日本関連のイベントに相次いで参加し、日本の大使と和気あいあいとした様子で語り合っていたのがこうした空気を物語っている。
 ケリー国務長官は折に触れて
 「より多くの役割を果たそうとする安倍首相や日本の努力は非常に喜ばしい」
と絶賛を惜しまなかった。
 おそらく昨年なら、韓国の外交官たちはこれを
 「よその家で祝い事があったからあいさつとして言ったまでだろう」
と悠然と構えていたはずだ。
 しかし、今回は
 「最近の韓日間の確執を考えると、そこまで言うのは適切でないだろう」
と不満を表している。
 それを見ると「対米関係の焦り」は今、韓国側に生じているようだ。

 韓国外交の最優先事項が対米外交であることは、いくら強調してもしすぎることはない。
 しかし「米国と親しいのはどっちなのか」と競い合い、一喜一憂しなければならない現状は、経済規模世界第15位の国に似つかわしくない気がする。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/01 09:24
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/01/2013120100187.html

【コラム】前任者の痕跡を消す権力者たち
今東西を問わない、前政権の痕跡を消す動き
李前大統領が誘致した国際機関の開所式、朴大統領出席せず

 古代エジプト王の業績を刻んだ碑文は、当時の状態を維持しているケースが稀だ。
 それは歳月の流れによる風化のためだと考えられてきた。
 だが歴史を調べると、後任の王の代に損壊したものが多いことが分かる。
 エジプト第18王朝(紀元前1570年ごろ-同1293年ごろ)の最後の王が、先代の王の記念物を組織的に破壊したのがその代表的なケースだ。
 これが3000年前のことだということを考えると、前任者の痕跡を消して自分を目立たせようとする権力者の習性は、古今東西を問わず見られるようだ。

 よいものがあればまず保存しようとする日本でもまた、権力が介入すれば話は別だ。
 戦国時代の最終的な勝者となった徳川家康は、前の権力者であった豊臣秀吉の痕跡を消すため、その居城の大坂城を焼き尽くしてしまった。
 その徳川氏の政権を倒し成立した明治政府もまた「王政復古」の号令の下、それ以前の権力の象徴だった国宝級の仏塔や仏像を破壊し、燃料や武器に使用するという蛮行を働いた。

 2000年代初め、米国のブッシュ政権の関係者たちは、自分たちの政策の基調を「ABC」と呼称した。
 「Anything But Clinton」を略したもので、「(前任大統領)クリントンがやったことだけをやめ、ほかは続行する」という意味だ。
 前任者の痕跡を消す露骨な行為だ。
 しかし、韓国ではこのような言葉がたびたび流行する。
 李明博(イ・ミョンバク)政権が発足した直後には「ABR」、朴槿恵(パク・クンヘ)政権が発足した直後には「ABM」という造語が登場した。
 前者は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領(Roh)がやったことだけを、後者は李前大統領(MB)がやったことだけをやめるという意味だ。
 朴政権の発足後には、李前大統領が大統領府で育てたシカを動物園に送ったという話題も出た。

 もちろん、このような現象は韓国でも古くからある。
 朴正煕(パク・チョンヒ)政権は張勉(チャン・ミョン)政権を「無能な政権」、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は朴正煕政権を「腐敗した政権」と決め付けた。
 全斗煥政権に対する後世の人々の批判はとどまるところを知らない。
 しかし、歴代政権の成功したケースが「遺産の引き継ぎ」をきっかけとしていることが多いというのはアイロニー(皮肉)だ。
 よく知られているように、朴正煕政権の経済開発計画は張勉政権が、全斗煥・盧泰愚(ノ・テウ)両政権下で実現したソウル五輪は朴正煕政権が推進したものだった。
 金大中(キム・デジュン)政権が成功した2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)韓日大会は金泳三(キム・ヨンサム)政権の遺産だった。

 韓国の人々は「グリーン気候基金(GCF)」を覚えているだろうか。
 昨年10月にドイツを破り、同基金の事務局の仁川市松島地区への誘致に成功したときには、韓国中が喜んだ。
 来月4日にはいよいよ、松島地区に事務局が開設される。
 開所式には世界銀行のジム・ヨン・キム(韓国名キム・ヨン)総裁や、国際通貨基金(IMF)クリスティーヌ・ラガルド専務理事が出席したが、韓国の大統領が出席する予定はなく、関係者たちはあっけにとられた様子だった。

 仁川市の関係者たちは「ムードが大きく変わったようだ」と語った。
 基金を積み立てる上で困難に直面し、GCFの先行きが不透明ということもその理由の一つだ。
 しかし、韓国政府の政策から「グリーン」という文言が消えたことが、さらに拍車を掛けたともいう。
 国際的な約束事であるGCFでさえ「前任者のやったこと」と見なされているのではないかという疑問を抱かざるを得ない。
 もちろん、そうしようというわけではない。
 朴槿恵政権下で推進している「創造的な経済事業」の33%はグリーン経済事業に関するものだ」という調査結果(与党セヌリ党のイ・サンイル議員)に表れているように、朴政権の政策もまた、李政権と同じような形で一体感を持って進められるのではないだろうか。

 現在は難航しているといっても、開発途上国の環境問題対策を支援するGCFの歴史的な意味は大きい。前政権のやったことだからといって、政権が変わったことで全く顧みられないというわけではなさそうだ。


 日米中の軍事的緊張の中で「告げ口外交」「おばさん外交」は一気に色あせてしまった。
 平和時には「おばさん外交」はそれなりの価値はあるだろうが、ことが緊迫してきたら
 今の状況をどう見通すかが最大の課題で、
 歴史認識がどうのといった昔話には一瞥の価値もなくなってしまった。
 「おばさん外交」の限界というこであろうか。



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