2013年11月21日木曜日

急伸する韓国の防衛産業:僅か5年で輸出額10倍に

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「WEDGE Infinity」 2013年11月21日(Thu) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3358

僅か5年で輸出額10倍に
急伸する韓国の防衛産業


●韓国初の国産ジェット超音波練習機「T-50」

 韓国防衛産業による防衛装備品の輸出が近年急激に増加している。
 2006年には約2.5億ドルの輸出額であったが、現在は約10倍にまで成長した。
 こうした動きには中国も警戒感を露わにする。
 韓国の安全保障事情に精通する筆者が、同国武器輸出の歴史を紐解き、急伸した背景や要因を分析する。

 今年9月10日、韓国・慶尚南道(キョンサンナムド)にある空軍基地から、尾翼にインドネシア国旗が付いた2機のジェット機が離陸した。
 同国初の国産ジェット超音速練習機であるT−50が、発注元のインドネシアへの引き渡しのため飛び立つ瞬間であった。
 同機については、2011年5月に韓国航空宇宙産業とインドネシア国防省との間で16機の購入契約が成立しており、発注額は1機当たり約2500万ドル、総額約4億ドルと言われている。

■中国も警戒する韓国の動き

 T−50のフライトから約1カ月後の10月12日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は国賓としてインドネシアを訪問し、ユドヨノ大統領との首脳会談を行った。
 この会談で防衛産業など両国間の産業協力関係が発展していることを確認し、さらなる発展のため包括的経済連携協定(CEPA)を年内に締結することに合意した。
 すでに両国間では、11年末に韓国の大宇造船海洋が製造する潜水艦3隻の購入契約が結ばれるなど、インドネシアは韓国防衛産業の重要な輸出先となっている。

 同月17日に朴大統領はフィリピンのアキノ大統領を国賓としてソウルに招待し、フィリピン空軍が韓国のFA−50軽戦闘機を採用したことに謝意を表明し、両国の国防分野における協力のための覚書(MOU: Memorandum of Understanding)も締結された。
 韓国メディアの報道によれば、両国間では現在韓国製艦艇の導入についても議論が行われているようである。

 こうした両国の動きに対して、フィリピンと南シナ海で領土問題を抱える中国は韓国に対し、フィリピンにFA−50を輸出しないよう牽制する動きがあったと報じられている。

 朴大統領は就任後2番目の訪問国として中国を選び、良好な韓中関係を世界にアピールした。
 その一方で韓国は、近年中国の影響力が拡大してきた東南アジアにおいて積極的に防衛装備品のセールス活動を展開してきたのである。

 韓国の防衛産業による輸出額は近年急増しており、06年は年間約2.5億ドルであったものが、12年には約10倍の約23.5億ドルとなった。
 11年には輸出額が輸入額を超えている。
 10年3月の哨戒艦「天安」撃沈事件、同年11月の延坪島砲撃事件など北朝鮮による軍事挑発に対抗するため、韓国軍はハイテク兵器を中心とする装備を海外から積極的に導入している。
 それにもかかわらず、自国で生産された装備品の輸出額が輸入額を超えたことは特筆すべきことである。

 輸出相手国も過去10年間で急増し、05年には42カ国であったのが11年には84カ国となった。
 また、07年には1件だった装備品の国際共同開発は12年には6件となり、防衛産業協力協定の締結国も06年に22カ国、12年には32カ国となっている。
 防衛産業の企業数は01年には78社だったが、12年には96社にまで増加した。
 特に、航空機製造が01年の7社から12社に、艦艇製造も7社から12社にそれぞれ増加していることは特記に値するだろう。

 それを象徴するかのように、輸出主要品目も当初は米国等へ納入する弾薬など小火器関連の装備が中心だったが、時代を経るごとに大型化、ハイテク化が進み、現在では最先端技術を生かした無人偵察機等の装備品開発にも力を注いでいる。
 代表的な企業は、サムスン・グループのサムスン・テックウィン、LGグループのLIG Nex1等を挙げることができる。

 韓国防衛産業の起源は、朴大統領の父親である朴正熙(パクチョンヒ)元大統領の時代に遡る。
 当時は、68年1月に北朝鮮のゲリラ部隊が朴正煕大統領の暗殺を目的に韓国内に侵入した事件等、北朝鮮による軍事挑発が度々発生していた。
 朴正煕大統領は米国に北への軍事報復を行うよう要求したが、当時ベトナム戦争で疲弊していた米国はこれを退けている。
 これに失望した朴正煕大統領は、外国からの援助に依存せず、自ら防衛装備品を調達する生産基盤を構築して、自国の防衛力を高める「自主国防」政策を推進した。
 74年には防衛産業を育成し軍の戦力強化を図る「栗谷(ユルゴク)事業」が開始され、翌75年にはその開発資金を調達するために防衛税が導入された(90年12月末に廃止)。

 ところが93年に金泳三(キムヨンサム)政権が発足すると、約20年近くに渡る防衛力整備を巡る軍と防衛産業との癒着が明らかにされ、両者に対する国民意識は著しく悪化した。
 一方、90年代に入ると韓国防衛産業は「自国の装備を自らの手で生産する」という当初の目的を達成し、国内調達だけでは国内市場が飽和してしまう。
 そこで防衛産業の稼働率向上が重要課題となり、海外輸出の重要性が叫ばれるようになったのである。

 防衛産業に対する国民の視線が厳しい中、当初、政府・軍は防衛装備品の海外セールスに必ずしも積極的ではなかった。
 しかし、世界では各国の大統領が積極的に自国の装備品を売り込んでいる現実を目の当たりにし、韓国でも意識改革が進んでいった。

 防衛装備品輸出拡大体制の整備は盧武鉉(ノムヒョン)政権発足後に具体化した。
 同政権は政府と防衛産業の関係を根本から改革し、防衛調達業務の透明性と公平性を確保するため、06年に国防部傘下に防衛事業庁を創設、防衛事業法を施行した。
 同法では、防衛産業の投資促進と輸出市場拡大のため同庁が必要な措置を取ることが定められている。

■韓国防衛産業躍進の裏側

 韓国防衛産業が躍進した要因としてまず挙げられるのは技術力と生産力の向上である。
 韓国は70年代に「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を実現し、重工業を中心に発展を遂げた。
 これにより戦車など大型装備品の生産基盤が確立された。
 近年においてはサムスンやLGなど電子・IT産業が成長し、韓国ブランドが世界的に認知されるようになった。
 現在は現代戦に必要不可欠なITなど最先端技術を駆使した装備品の開発・生産により付加価値を高める戦略を取っている。

 第2は、政官民軍が一体となって装備品輸出プロジェクトを進めている点である。
 防衛事業庁、防衛産業振興会、防衛産業各社が一体となって、市場開拓団を組織し、世界各国、特に新興国や発展途上国に対する市場調査を行った上で海外セールスを行っている。



 具体的には、各国が置かれている安全保障環境や国防予算、財政状況、装備品の状況を精査した上で、外交部の支援を受けつつ関係者が合同で各国に出向き、相手国が必要とする装備品や財政状況について親身に意見聴取した後、自国の装備品を紹介している。

 相手国が受注に関心を示して具体的契約の可能性が見えてくれば、最後の一押しは大統領訪問による直談判となる。
 近年の防衛装備品輸出額増加は李明博(イミョンパク)前大統領自身のトップ・セールスによるものが大きいと考えられる。

 一方で水面下では情報機関の関与も垣間見える。
 前述のインドネシアへのT−50売却交渉の最終段階であった11年2月、ソウルを訪問したインドネシア特使団が宿泊するホテルの一室に、韓国の情報機関である国家情報院の要員3人が侵入したところを、同特使団に発見される事案が発生している。

■複雑な韓国の本音

 韓国は防衛装備品を積極的に外国へ売り込んで利益を上げる一方、日本の武器輸出緩和の動きに対しては警戒感を隠そうとしない。
 こうした韓国の姿勢に違和感を覚える読者も少なくないだろう。
 現在日韓関係は歴史問題等によりギクシャクしているが、将来の日本の防衛産業育成を考える上では日韓関係の視点を欠くことはできない。

 本年夏、筆者がインタビューした韓国のある安全保障専門家は、
 「公の場では絶対に発言できないが、私は韓国が日本と防衛装備品の共同開発を行うことが韓日関係の発展に資すると思う」
と述べていた。

 防衛装備品開発で韓国が日本と協力するというアイデアが韓国側にあること自体驚きであった。
 10年2月には韓国防衛産業振興会代表団が日本経団連を訪問し以下の通り発言している。

 (日本経団連側からの)「日本と装備品を共同開発したいか」との質問に対しては、同会の権副会長が
 「将来、日本の武器輸出三原則等が緩和されることを望んでいる。
 韓国の武器輸出のネットワークの経験を活かせば、良い協力ができると思う」
と期待を示した。(『日本経団連タイムスNo.2985』より抜粋)

 改めて後日、前述の韓国の安全保障専門家に話を聞くと、
 「日本が武器輸出をこれまで以上に緩和した場合、韓国の防衛産業と競合する部分があることは事実だ。
 他方、1国が防衛装備品の生産に関してすべての技術をカバーすることは難しい。
 各国とも財政的制限を抱えているので、世界の趨勢は他国と協力しながら自国の防衛産業に効率的に投資することである」
と指摘し、この分野で日韓が協力することの意義を強調していた。

 韓国メディアは表向き、安倍政権が進める武器輸出制限緩和の動きに警戒感を隠さない。
 他方、韓国内では、日本の防衛産業が国際市場に本格的に参入することを見越して、日本との競争や技術協力など様々な選択肢につき強かに戦略を練っている可能性がある。

 日本は韓国防衛産業の躍進に単に目を奪われるのではなく、中長期的な防衛産業育成戦略を構築する必要がある。
 日本の安全保障戦略の中で防衛産業育成を如何に位置づけるかを考えた上で、他国との共同開発等あらゆる選択肢の中から、国益の増大を図るための最適解を見つける努力を始めるべきである。

◆WEDGE2013年12月号より

伊藤弘太郎(いとう・こうたろう) キャノングローバル戦略研究所研究員
2001年中央大学総合政策学部卒業、04年同大学大学院総合政策研究科博士前期課程を修了。衆議院議員事務所(秘書)、公益財団法人日本国際交流センター(アシスタント・プログラム・オフィサー)、独立行政法人経済産業研究所(リサーチ・アシスタント)、韓国・高麗大学一民国際関係研究院(ジュニア・リサーチ・フェロー)を経て、10年より現職。


サーチナニュース 2013/11/01(金) 14:23
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1101&f=national_1101_023.shtml

韓国航空機メーカー、著作権侵害でロシアから48億円の賠償命令

  韓国の航空機メーカー、韓国航空宇宙産業(KAI)は1日、ロシアの航空宇宙産業エンジニアリングメーカー、PKBMの著作権を侵害したとして、ロシアの仲裁裁判所から527億ウォン(約48億円)の支払いを命じられたと発表した。
 KAIは控訴する方針という。

  KAIの前身である韓国大宇重工業は1994年から98年にかけ、航空機シミュレーターのソフトウェアを開発する目的で、PKBMと人材交流を実施。PKBMによると、2000年代初めにKAIが韓国空軍に納品した基本訓練機には、その時、韓国側に伝わった技術が使用されているという。
 PKBMは、事前に該当技術をめぐる契約はなかったとし、2004年にKAIを相手取った著作権侵害訴訟「ソフトウェア開発時の基礎技術利用に対する著作権侵害」を起こした。

  KAI側は、会社に正式な通達があったのは今年4月だとし、公判まで時間がなかったと説明。
 著作権侵害についても
 「大宇重工業時代のことであり、著作権を侵害していないとの証拠も持っている」
としてPKBM側の主張に反発した。

  KAIは今後理事会を開き、ロシア裁判所に控訴する手続きを進める。
 KAIの関係者は、
 「今回の判決が確定しても、韓国で効力を持つためには韓国の裁判所による判断が必要になる」
と述べた。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月18日 1時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79251&type=0

韓国、武器の輸出拡大狙う=武器乱用への心配の声も―米メディア




●15日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は、韓国が武器輸出の拡大を狙っていると報じた。資料写真。

 2013年11月15日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語版は、韓国が武器輸出の拡大を狙っていると報じた。

 10月29日よりソウル近郊都市において「ソウル国際航空宇宙・防衛産業展示会(ADEX)」が開催され、世界最先端の航空機や人工衛星、防衛産業技術が一堂に会した。
 韓国は武器輸出の拡大を狙っており、展示会においても韓国製の最新兵器が展示された。

 関係者によると、韓国製軍事品の輸出はここ10年で10倍に増えており、12年には23億ドル(約2300億円)にまでなった。
 現在韓国は、世界第15位の武器輸出国であるが、政府は第10位に入りたいともくろんでいる。
 ただし、会場では
 「人権問題が存在しているような国や地域など、武器使用が規定通りに行われない国にまで武器を売りつけようとしているのではないか」
という心配の声もきかれた。




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