2013年11月1日金曜日

「超保守思潮」にズッポリはまる韓国:後進的起業システムの抜本改革を

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 韓国経済を引っ張ってきたのは、トップ企業に集約するという韓国独特の「奇形構造システム」であった。
 しかし、時が経つとそれが逆に韓国発展の足を引っ張るヒズミとなってあらわれてきた。
 政府は構造を変革するという策はとらずに、この構造を維持するための販売先を確保するという手法をとっている。
 つまり、中国消費市場の確保である。
 朴大統領の中国擦り寄り政策はそのことを示している。
 構造改革はせずに、この経済システムをなんとか維持していこうというスタンスである。
 だが、ことはさほどに安易なものではない。
 このままでいけば、おそらく韓国の経済システムはドロ沼のなかに消えていくしかないだろう。


朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/01 11:03
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/01/2013110101190.html

【社説】韓国の後進的起業システム、抜本改革を急げ

 韓国社会では、事業に失敗すれば「敗家亡身(身代をつぶし身を滅ぼす)」するといわれる。
 全くその通りだ。
 先月30日、中小企業庁の主管で事業失敗の経験談を語り合う会合が開かれた。
 ある事業家は、事業で抱えた借金を返すために親が土地を売り、本人も家を売って伝貰(チョンセ=高額の保証金を預ければ、その運用益で家賃負担が不要となる賃貸方式)で家を借りたが、やがて月貰(ウォルセ=保証金と毎月の家賃を支払う賃貸方式)の家に移らねばならなくなり、最後には家族と一緒にチムジルバン(サウナ主体の韓国式健康ランド)で暮らす羽目になった経験を打ち明けた。

 それでも、この事業家は再起を果たしたまれなケースだ。
 私たちは、事業家が事業に失敗すると、連帯保証制度により本人だけでなく一家親戚までもが破産に追い込まれたり、信用不良者(金融債務不履行者)になったりするケースを数え切れないほど目にする。
 社会的に失敗を許さない雰囲気があるため、ひとたび「事業に失敗した人」というレッテルを張られると、顔を上げて外を歩けなくなる。
 まさに敗家亡身という言葉がぴったりだ。

 こうした雰囲気の中、起業家精神はしぼむ一方で、若者たちは起業と聞いただけでおじけ付く。
 事業を起こすとしても、大抵の場合は親の老後資金となる退職金をせびり、飲食店を構えるくらいが関の山だ。
 韓国の経済活動人口1000人当たりの起業家数は1.83人で、世界平均の3.42人を大きく下回る。
 こんな状況では、国の経済は衰えて世界での競争に立ち遅れ、歴史から消えてしまう。

 米国では、最初の起業が成功する確率は18%だが、失敗した人がもう一度事業を起こせば成功率は30%に上がるという。
 米国の起業コンサルティング会社は、失敗を経験した人の事業計画書をより高く評価する。

 韓国政府が、優秀な新企業に対しては創業者の連帯保証責任を免除し、事業に失敗した人の再起業を支援する制度を打ち出した。
 だがこれは、中小企業振興公団の創業支援資金など政策資金に対する連帯保証を免除する程度で、こんなアイデアでは「事業失敗=敗家亡身=起業の忌避」という風土を変えることはできない。
 創業者に連帯保証を求めることは、投資に伴うリスク負担を創業者とその一家親戚に押し付けることに他ならない。
 こうした後進的な起業システムを根本から変えてこそ、雨後のたけのこのように起業が増え、韓国の未来をリードする新たな大企業も誕生するだろう。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/01 11:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/01/2013110101207.html

韓国の建設・海運・造船は5-6年前から赤信号

 金融研究院の申竜相(シン・ヨンサン)上級研究委員は「建設、海運、造船という3大業種は5-6年前の段階で既に赤信号がともっていたのに、構造調整が遅れ、今になって問題が表面化している」と断じた。

 韓国では最近、熊津、STX、東洋の各グループが相次いで破綻し、危機感が高まっている。
 現状をめぐっては、韓国が2008年の金融危機を克服する過程で、他国とは異なり、企業の構造調整を行うことなく乗り切ったため、今になって限界が来ているとの分析が聞かれる。
 金融危機当時、ある銀行トップは
 「思い切った構造調整ではなく、さまざまな支援政策を通じた現状維持が強調され、
 潜在的に経営が限界に達している企業を退場させることが難しくなっている
と指摘した。
 結局は「先延ばしした構造調整」の積もり積もった弊害が今になって表面化していることになる。

 熊津、STX、東洋などは、世界的な金融危機の局面でも構造調整どころか、無秩序な事業拡大を図り、破綻したケースだ。

 グループ解体の危機に追い込まれた東洋グループも、主力企業の東洋セメントの収益性が悪化した状況で、08年に20社にすぎなかった系列企業を昨年までに34社まで増やした。

 世界的な格付け会社の関係者は
 「08年以降、徹底したリストラを行った米国企業は最近、第2次大戦以降で最高の生産性を上げているが、韓国は正反対だ。
 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が『企業寄り』を掲げ、構造調整がどこにいってしまい、問題が次第に肥大化したものだ」
と指摘した。
 同関係者は
 「韓国の金融当局は危機の兆候に対するモニタリングも弱いが、兆候を感知した後の具体的な行動も取れずにいる」
と批判した。

 構造調整の遅れにより、韓国企業の競争力は徐々に低下している。
 韓国銀行が国内の製造業、サービス業、建設業46万4425社を調査して発表した「企業経営分析」によると、韓国企業の営業利益率は2010年には5.3%だったが、昨年には4.1%まで低下した。

 韓国開発研究院(KDI)のチョ・ドンチョル博士は
 「韓国は世界的な危機を克服する過程で、企業に対する融資の縮小すら行わなかった。
 結局、問題部分を取り除けず、資金危機を招く一因になっている」
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/01 11:08
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/01/2013110101229.html

機を失した構造調整、韓国経済のアキレス腱に

 世界的金融危機から5年間先送りしてきた問題企業の構造調整が韓国経済のアキレス腱になっている。

 金融当局が先制的な企業構造調整に相次いで失敗し、金融市場の混乱が広がっており、正常な企業の資金調達にまで支障が出るケースが生じているからだ。
 韓国政府高官は10月31日
 「STXグループ、東洋グループが破綻したこと自体を危機とはいえないが、危機の兆候が強まっていることは確かだ。
 市場の信頼を得られる企業構造調整が求められている状況だ」
と述べた。

 韓国で低迷3業種に数えられる造船、海運、建設業界で企業が相次いで破綻する中、金融当局による企業構造調整が遅れ、危機が他の業種に飛び火する兆しを見せている。
 大企業傘下の建設会社C社は、今月初めに1000億ウォン(約93億円)規模の社債発行を目指したが断念した。
 東洋グループの社債、コマーシャルペーパー(CP)が紙くずになる恐れが浮上して以降、「第2の東洋になるのでは」という不安感が広がったからだ。

 市中銀行関係者は
 「市場が不安な状況になり、構造調整が必要な問題企業と短期的な資金不足さえ解決できれば経営が存続できる企業を区分すべきだという投資原則さえ崩壊した」
と述べた。

 実際に格付けが「トリプルBプラス」以下の企業による社債発行は急激に減少した。
 5月当時はトリプルBプラス以下の格付けの社債が全体の8.1%を締めたが、10月には1%にとどまった。
 金融業界関係者は
 「金融当局が先手を打って対応し、問題企業の構造調整を急がなければ、玉石を見分けることができない。
 生ぬるい対応にとどまっているため、正常な企業まで危機に巻き込まれている」
と指摘した。

 金融危機当時、問題企業の構造調整に加わった現職官僚は
 「金融当局が再建不可能な企業を速やかに処理しなければ『残った企業はこれ以上倒産しない』というシグナルを市場に発することはできない」
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/01 11:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/01/2013110101216.html

「無能・無策・無経験」で市場不安あおる韓国金融当局トップ

 9月22日午後、韓国大統領府(青瓦台)の経済金融状況点検会議(通称「西別館会議」)では、東洋グループが最後の期待をかけた譚哲坤(タム・チョルゴン)オリオングループ会長夫妻による支援は実現しなかった。
 当初はオリオングループが翌日にも支援内容を発表する予定だった。
 しかし、申斉潤(シン・ジェユン)金融委員長、趙源東(チョ・ウォンドン)青瓦台経済首席秘書官、崔守鉉(チェ・スヒョン)金融監督院長、洪起沢(ホン・ギテク)産銀金融持株会長が出席した会議は、いかなる結論も下せないまま、1時間で終了した
 政府関係者は
 「東洋グループが法定管理(会社更生法適用に相当)を申請する前に最後に開かれた対策会議だったが、なすすべはないという事実を確認しただけだった」
と証言した。
 1兆5000億ウォン(約1390億円)規模のCP(コマーシャルペーパー)による被害者4万1000人のための対策も打ち出されることなく、東洋グループは1週間後に法定管理下に入った。

 既に東洋グループは1年前の昨年10月17日、不渡り直前まで追い込まれていた。
 東洋グループの創業者、李洋球(イ・ヤング)会長の夫人、李寛姫(イ・グァンヒ)瑞南財団理事長が17日未明にオリオン株15万9000株(1500億ウォン相当)を東洋グループに貸与し、危機を乗り越えた。

 それから1年が経過したが、ほとんど無防備状態で東洋グループの法定管理移行を見守ったのが、朴槿恵(パク・クンヘ)政権の金融政策担当者の実情だ。
 元政府高官は
 「東洋グループの一件で、現政権の金融政策担当者の無能、無策、無経験という全体的問題点が明らかになった」
と指摘した。

■問題企業のオーナーに振り回される政府

 STXグループの姜徳寿(カン・ドクス)会長は、今年4-7月に債権団との経営共同管理が進められる間、白衣従軍(罰を受けて一兵卒として従軍すること)という形で経営の一線に残ると表明した。
 金融当局は「乱脈経営の責任を問うべきだ」との立場だったが、姜会長を排除できないまま振り回された。
 結局は債権団が9月になって姜会長を退陣させた。

 東洋グループの玄在賢(ヒョン・ジェヒョン)会長は昨年末、金融当局の圧力を受け、大幅な構造調整計画を発表した。
 しかし、今年上半期までに東洋が資産売却で調達した資金は、レミコン工場(1145億ウォン=約105億円)、冷凍倉庫(345億ウォン=約32億円)など5000億ウォン(約460億円)程度にとどまった。

 金融監督院幹部は
 「構造調整の過程で、まず家族経営陣の協力を得ようと努力することは当然だ。
 玄会長も法定管理直前まで東洋セメントなどの売却に向け努力していたと聞いている」
と話した。

■失言、失策、経験不足

 申斉潤・金融委員長と崔守鉉・金融監督院長は、状況が差し迫っても、東洋グループが系列会社や資産を売却し、資金を調達する方向で時間的猶予を与える方法を選択した。
 積極的な構造調整には介入しなかった。

 崔院長は
 「東洋グループは銀行からの借り入れよりもCPや社債の発行額が多く、主要債権銀行さえない特殊なケースだった。
 個人投資家の被害を最小化しようとしたのであって、無策のまま引き延ばしたわけではない」
と説明した。
 しかし、ある元政府高官は
 「経験のない医師が手術を怖がり、
 薬物治療にばかり頼っているのと大差ない
と指摘した。

 経験不足は相次ぐ失敗につながった。
 崔院長の慎重さを欠く発言が代表的だ。崔院長は先月18日、国会政務委員会の国政監査で「東洋グループのような大企業が4社程度ある」と発言した。
 第2、第3の東洋グループが存在しているというニュアンスだった。
 波紋を恐れた崔院長は
 「財閥の中で金融系列企業を通じ、CPや社債を販売している企業が4社程度あるという意味であって、危険だという意味ではない」
と釈明した。

■市場の不信感

 企業再生を図るためには、一度に十分な資金支援を行い、市場の不安感を解消する必要があるが、金融当局は消極的な態度に終始し、市場の不信感を自ら招いた。

 通貨危機当時、企業構造調整を担当した関係者は
 「煮えたぎる釜に水をひとすくい入れたところで何にもならない」
と指摘した。
 韓進海運は先月30日、大韓航空から1500億ウォン(約139億円)を借り入れたが、市場の反応は冷ややかだ。
 債権団の支払い保証を得て、4億ドル(約393億円)規模の永久債(満期のない債券)発行を含む大規模な対策を示すべきタイミングにもかかわらず、そうはしなかったからだ。
 31日の株式市場では、韓進海運と大韓航空の株価がいずれも下落した。

 申金融委員長は
 「今年7月の社債のスピード買い取り制度導入などにより、市場の混乱を防ぐ対応策を整えた。
 通貨危機当時の構造調整は超法規的な性格まで帯びたもので、それに比べスピード感が感じられないというのは誤った比較だ」
と反論した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/02 10:59
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/02/2013110200670.html

【社説】外資誘致に無関心な韓国

 米国のオバマ大統領が、連邦政府史上初めて外国企業と直接接触し、投資の誘致に乗り出した。
 オバマ大統領は10月31日、ワシントンDCの投資誘致説明会に出席した世界の企業関係者の前で
 「米国ほど企業を経営しやすい国はない。
 私を含め、全ての閣僚が投資環境の整備のため努力する」
と約束した。

 オバマ大統領は、韓国のサムスン電子と日本の本田技研工業、ドイツのシーメンスの3社を外国直接投資(FDI)のモデルとして紹介し
 「(米国の)人々は、なぜ世界最大の市場を放置して外国に工場を置かなければならないのか、疑問を呈している」
と語った。
 オバマ大統領の発言は、米国が今後、輸出企業よりも米国内に工場を置く企業の方を優遇していくと解釈できる。

 米国は、世界で最も多くのFDIを引き寄せている国だ。
 非米国企業による米国向け直接投資は、昨年1年間で1680億ドル(現在のレートで約16兆6000億円、以下同じ)に上り、
 非中国企業による中国向け直接投資(1210億ドル=約11兆9000億円)を大きく上回った。
 にもかかわらず、オバマ大統領は外国企業の投資をさらに誘致しようとしている。
 これは、米国経済の回復速度を上げ、雇用を増やすためだ。
 オバマ大統領は
 「米国の大統領にとって最も重要な課題は、良質の雇用を増やし、中産層を強化すること
と語った。

 韓国ほど外国直接投資を切に必要としている国はない。
 大企業の新入社員選抜競争率は通常100倍を越え、良質の雇用は乏しい。
 過去5年間、韓国の国内企業は海外に1500億ドル(約14兆8000億円)を投資したが、韓国が誘致した外国直接投資は250億ドル(約2兆5000億円)にすぎなかった。
 韓国の経済成長率はますます鈍化しており、良質の雇用が作り出されない原因はここにある。

 外国企業の韓国向け投資を呼び込むためには、韓国の投資環境が隣の中国や東南アジアより格段に良いものでなければならない。
 強硬な労組の問題が既に世界に知れ渡っている状況で、韓国に投資するよう外国企業を説得するには、ほかの国々よりはるかに規制が少なく、外国人の居住環境も優れていなければならない。
 それでこそ良質の雇用を生み出し、社会的・経済的二極化の問題も解決していくことができる。

 しかし韓国政界は、こうした国家的懸案に関心すら持たない。
 韓国政府が今年5月に打ち出した外国人直接投資促進法改正案は、2兆3000億ウォン(約2100億円)の新規投資の行方を左右する法案だというのに、野党の反対に遭ってまだ国会を通過していない。
 大統領が外国に行くたび「韓国に投資してほしい」と外国企業関係者をいくら説得しても、このように息が合わないのではどうしようもない。
 政界は今こそ大きく目を見開いて、世界がどのように回っているのかを見るべきだ。


 今の韓国は『超保守思潮』にズッポリハマり込んでいる。
 新しいものへの挑戦はカケラも見いだせない。
 今持っているものを大事に大事にしているだけで、未来を展望してどう踏み出していくのか、なんてことは毛唐も考えない。
 この超保守主義の機関車が「歴史認識」という、敗北と苦痛の過去との対話である。
 ここには明日につながる一歩がまるで見えてこない。
 ただ、歴史を手前勝手に認識解釈して、今を正当化して、キラキラと輝かせることだけである。
 「明日」なんてことはまったく埒外にある。
 このままこの超保守主義があと4年も続いたら、この国どうなってしまうのだろう。
 父親は近代主義に韓国の舵をとり、娘は超保守主義へ再度その舵を切っている。