2013年11月11日月曜日

日本で視聴率50%近いドラマが続出しているワケ

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/10 09:17
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/10/2013111000274.html

日本で視聴率50%近いドラマが続出しているワケ

 日本では異例のドラマブームが巻き起こっています。
  視聴率20%でも「大ヒット」と言われる日本のテレビ界ですが、最近は視聴率40%を超えるドラマが続々と出ているのです。
 こうした現象について「日本社会の構造変化と関係があるのでは」という見方があります。

 9月22日に全10話で終了したTBS系列の日曜夜のドラマ『半沢直樹』は最終回の平均視聴率が42.2%を記録しました。
 ストーリー前半部の舞台だった関西では45.5%、瞬間視聴率は50.4%をマークしました。

 これは1980年以降の民放ドラマでは過去最高視聴率だそうです。
 数字上は日本人の2人に1人が見た計算ですが、これほどの視聴率なら実際は日本人なら誰もが一度は見たということになります。
 韓国でも毎回楽しみにして見ていたという「日本ドラママニア」のレビューがインターネット上に数多く掲載されています。

■日曜ドラマは視聴率40-50%、
 朝のドラマも20%台突破…30数年ぶりの高視聴率

 『半沢直樹』は東京中央銀行の次長(放送途中に課長から昇進)の主人公、半沢直樹が違法融資などの不正をした上司に抵抗し、「正義」を貫くという物語。
 融資損失の責任を自分にかぶせようとした支店長にたんかを切り、過去に融資を止められて父親を自殺に追いやった銀行常務に仕返しをする、というのが主なストーリーです。

 主人公のセリフ「やられたらやり返す。倍返しだ!」は、日本で今年最大の流行語になりました。
 主人公の半沢直樹は回を重ねるうちに「10倍返し」「100倍返し」とやり返す度合いを高めていきます。
 「俺はもっと上に行く。上に行ってやる事があるんだ」
 「部下の手柄は上司のもの! 上司の失敗は部下の責任!」
というセリフも話題を呼びました。

 半沢直樹ブームの原因についてはさまざまな見方があります。
 第一に、権謀術数にたけて部下を消耗品扱いする上司に対抗しながらも、自分も脅迫など手段を選ばず、最後には上司を屈服させる姿に平凡なサラリーマンたちが自分を置き換えていたという見方です。
 現実では上司にやられる一方の会社員たちですが、会社を揺さぶる主人公の姿に痛快さを感じたのでしょう。

 第二に、日本社会の質的な変化と結び付ける見方です。
 上司の命令には絶対服従という企業文化や、相手に対する思いやりを美徳としてきた日本社会が、長期不況や東日本大地震などの困難を経て相手に怒りを爆発させる方向へと構造変化しているというものです。
 ある日本の時事週刊誌は、最近悪化している韓日関係を韓国のせいにするという誤った認識に基づき「韓国に倍返しだ」と見出しを打ちました。

 『半沢直樹』が放送される2年前にも視聴率40%を上回ったドラマが大きな話題を呼びました。
 日本テレビ系列のドラマ『家政婦のミタ』は2011年12月放送の最終回平均視聴率が40.0%をマークしました。
 日本のメディアは当時「驚異の視聴率」「今世紀最高視聴率」などと報じました。
 現在、SBSでこのドラマの設定を韓国に置き換えた『怪しい家政婦』がチェ・ジウ主演で放送されています。

 『家政婦のミタ』の主人公・三田灯(あかり)は夫と息子を亡くし、一切笑わなくなりました。
 ミタは母親の自殺で崩壊寸前の阿須田家で家政婦として働き始めます。
 そうした中でミタも阿須田家の人々も愛と幸福の意味を見いだすというストーリーです。
 さまざまな困難に見舞われても淡々と解決していくミタのセリフ
 「それは業務命令でしょうか」
 「承知しました」
も当時の流行語になりました。

■社会的ムードと心理変化を反映、
 「集団狂気」として爆発の可能性

 『家政婦のミタ』ブームの原因についても日本社会に関連付ける見方がありました。
 日本社会全体が軟弱になった中、どのような困難にあっても問題を解決し、自分の信念を貫く主人公、ミタの姿が理想的な人物像として受け入れられたというものです。
 大地震や津波による災害の対処に無力な政府とは異なり、強い信念を持って問題解決するミタに熱狂したのでしょう。

 他人に深くかかわることを望まない社会風潮の広がりがドラマヒットの背景にあるという見方もありました。
 日本社会は思いやりがあり親切な人々とかかわりを持つのが面倒だと考えるようになったというのです。
 温かい気遣いやかかわりは求めないが、自分の仕事を確実にこなすミタのような人が理想の人物像になったのかもしれません。

 今年4月からスタートし、9月28日に全156話で終了したNHKの朝の連続ドラマ『あまちゃん』もシンドロームを巻き起こしました。
 東京の平凡な女子高生が母親の郷里で海女になって町おこしし、それがきっかけで東京でアイドルになろうとするというストーリー。
  月曜日から土曜日まで毎朝15分間放送され、毎回20%前後という視聴率をマーク、日本人をテレビにくぎ付けにした。
 ドラマの舞台となった岩手県は『あまちゃん』のおかげで人気観光スポットになりました。

 『あまちゃん』も大地震と関連付けて人気の原因を分析する見方があります。
 岩手県は地震被害が大きかった地域の一つです。
 女子高生が母親の故郷に夢と希望を与える様子を見て「再び立ち上がろう」と日本国民の情熱に火を付けたということでしょう。

 どのドラマでも大ヒットの原因は、基本的に作品そのものが持つ面白さや感動的なストーリーにあります。
 ですが、国民の多くが特定のドラマに夢中になっていることについて社会的に分析・解釈をするのは当然のことでしょう。
 個人的には、日本のメディアによるさまざまな分析の中でも、朝日新聞の分析に目が行きました。

 朝日新聞は9月29日付の記事でドラマブームの原因を分析、ある大学教授の話として、日本の視聴者の「同調」現象に言及しました。
 皆が見るものを自分も見たいという群集心理が起きやすくなったという見方です。
 「こうした現象が深まり、今後は一部のドラマがさらに高い視聴率を記録すると思う」
とこの大学教授は話しています。

 このような「群集心理」は日本を再興させるプラスのエネルギーとして作用する可能性があります。
 ですがその一方で、第二次世界大戦時にそうだったように、隣国はもちろん、自国さえ危険に陥れる破壊的集団狂気につながりかねず、そうした狂気が爆発することもあるのでは、という気もします。

 日本国民が理想的で健全な方向に向かい、その能力と情熱を発揮することに期待したいです。