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朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/22 06:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/21/2013122100735.html
なぜ日本で「放射能パニック」が起きないのか
東京電力福島第一原発の汚染水漏れを受け、韓国では沿岸部で捕れた韓国産水産物の消費までもが急減しました。
ところが、東京に住む私は「放射能汚染の恐怖」を感じられずにいます。
オフィス周辺のすし屋など魚介類を扱う飲食店も、これまでと同じようににぎわっています。
スーパーの魚売り場も以前と全く変わりません。
しかも、日本産魚介類は輸入品よりもはるかに値が張るのです。
これまで、水産物の消費量が減ったという統計も、そうしたマスコミ報道もありませんでした。
今が旬のサンマは今夏の水温上昇で漁獲量が減り、むしろ値段が1.8倍ほどに急騰しました。
2011年に起きた東日本巨大地震からの復興を後押しするという名目で、漁船が福島県に近い宮城県の漁港からサンマを出荷したりもしました。
■水産物の汚染問題を報じないマスコミ
日本国内で「放射能パニック」が起きていない理由は何でしょうか。
一つ目は、マスコミの報道姿勢のためです。
朝日新聞や東京新聞などは、福島第一原発の汚染水漏れについては非常に批判的に報じていますが、水産物の汚染問題についてはほとんど報道していません。
もちろん、インターネット上では放射能汚染への懸念から「外国に移住する」といった書き込みも見られますが、こうした類いのニュースを扱うマスコミはありません。
先ごろ毎日新聞が水産物の汚染に関する特集記事を掲載しましたが、結論は「特に問題はない」というものでした。
放射能汚染の問題点を積極的に訴えている学者のインタビューも、ほとんど報道されません。
原発事故後、宮城県から千葉県までの水産物は汚染されており、食べてはいけないと主張していた東京海洋大学の水口憲哉名誉教授は
「マスコミはインタビューをしても紙面には汚染問題を掲載しない」
と話しています。
流通している水産物の放射性物質は基準値を下回っているため安全だとする政府の発表を否定する報道はありません。
国益が関わる事案については徹底して談合(?)する日本のマスコミの姿勢は今も変わらないようです。
■放射能汚染の恐怖を語らない日本人
2つ目は 放射能汚染の恐怖を口にしない人々の態度も、放射能パニックを防ぐ一つの要因となっているようです。
もちろん、全ての日本人が恐怖を感じていないわけではありません。
子育て中の親たちは、できるだけ福島県から遠く離れた地域の魚介類や農産物を買い求めるといいます。
ごく一部ですが、放射能汚染を恐れて沖縄県に移住した人もいます。
また、福島県から遠い地域の農水産物を宅配で取り寄せる人も増えています。
ですが、人々は放射能汚染の恐怖を他人に語ることはしません。
会社勤めをしている40代の女性は
「同僚とも近所の人とも放射能汚染について話したことは一度もない」
と言います。
恐怖を感じていることを告げれば自分の印象が悪くなるかもしれない、という思いもあるようです。
恐怖は対話によって伝染するものですが、対話そのものがないのです。
ある主婦は
「恐怖を感じても日本を出ることも、日本の魚を食べずにいることもできない。
諦めの気持ちもある」
と話しています。
■日本産優越主義と政府への信頼も影響
3つ目に「日本産優越主義」も影響しています。
日本人は自国産が輸入品よりも安全だと考えているようです。
東日本巨大地震以降、韓国の飲料水が日本に輸入されたことがありました。
輸入品ですが、日本の飲料水よりも安く販売されていました。
当時、韓国人の駐在員らは日本の飲料水が信じられず、血眼になって韓国産を探し回っていましたが、日本人の多くは日本産の方が安全だという考えから韓国産には目を向けませんでした。
先ごろ韓国が日本産水産物に対する輸入禁止措置を拡大したことと関連し、ある週刊誌は
「韓国は日本産の代わりに中国の猛毒食品を食べるつもりだ」
と報じました。
また、産経新聞は韓国の禁輸措置について
「食の安全管理に対する韓国政府への不信がもたらしたもの」
といった主張を展開しました。
こうした報道を見ながら、いろいろなことを考えます。
日本政府は原発事故についてうその発表をした上、対応が後手に回り、信頼を失いました。
それにもかかわらず、日本人は今でも政府を信用しているようです。
内心は分かりませんが、
少なくとも表向きは政府に全幅の信頼を寄せています。
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