2013年12月23日月曜日

海外研究者が韓国の大学に定着しない原因:年俸約1億5000万円で招いたのに

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/23 11:59
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122302188.html

ソウル大が招いたノーベル賞受賞者、任期途中で帰国
年俸約1億5000万円で招聘するも、1年で帰国



 ソウル大学が昨年9月に招聘(しょうへい)したノーベル賞受賞者のトーマス・サージェント教授(70)が、当初の任用期間(2年間)を満たさず米国に帰国した。
 同大は22日、サージェント教授が今年8月に帰国した際「契約を延長しない」との意思を伝えてきた、と発表した。

 ソウル大は昨年から「ノーベル賞受賞者クラスの碩学(せきがく)誘致事業」を進め、年俸や研究費として6億-15億ウォン(約5900万-1億4700万円)を支給するという破格の条件で、世界のノーベル賞受賞者クラスの学者たちを招聘してきた。
 ノーベル経済学賞受賞者のサージェント教授がその第1号となり、また最近、ノーベル化学賞を受賞したイスラエル工科大学のアーロン・チカノーバー教授(66)、アブラム・ハーシュコ教授(76)、ダニエル・シェヒトマン教授(72)を来年から碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)として招聘することを決めている。

 ソウル大の関係者は
 「サージェント教授が今年度1学期の講義を終えて帰国した後『来年には個人的な理由で来られないと思う』と伝えてきた」
と説明した。
 サージェント教授は任用期間2年の碩座教授として招聘されたが、契約は1年単位となっていたため、途中で帰国しても契約違反にはならない。

 社会学部の教授は
 「サージェント教授は年齢や健康状態を考えると、一人で韓国にいるよりも、家族と一緒に(米国に)いる方がいい、という話をたびたびしていた。
 韓国で生活する上で、いろいろと大変なことがあったようだ」
と語った。
 サージェント教授はセミナーが開かれる際に来韓する外国の教え子たちを除けば、主に韓国の教授や学生たちと研究に取り組んだり、セミナーを行ったりしていたという。

 年間15億ウォンを支給する条件で招聘されたサージェント教授が途中で帰国したことについて
 「著名な学者を招いたのに、ソウル大が十分に活用できなかったため、こんなことになったのではないか」
と指摘する声も出ている。
 ソウル大が野党・民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員に提出した資料によると、サージェント教授が担当していた「マクロ経済学特別講義」は、定員250人に対し受講生は21人、受講申請率は8.4%にとどまり、また大学院の科目である「マクロ経済学特殊研究」は、定員50人に対し受講生は14人(受講申請率28%だった。
 同大経済学部の関係者は
 「英語は言うまでもなく、ハイレベルな数学を活用した講義を行ったため、多くの学生が授業についていけなかったようだ」
と語った。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/24 11:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/24/2013122401299.html

【社説】海外の研究者が韓国の大学に定着しない原因を探れ

 昨年9月にソウル大学が招聘(しょうへい)したノーベル経済学賞受賞者のトーマス・サージェント教授(70)が、当初の任用期間(2年間)を満たさず、ちょうど1年となる今年8月に米国に帰国したという。
 サージェント教授はソウル大学が行っている「ノーベル賞受賞者クラスの権威誘致事業」により、給与と研究費を合わせて年間6億-15億ウォン(約5900万-1億4700万円)を支給するという破格の条件で赴任していた。
 しかし同じ条件で1年さらに残ることができたにもかかわらず「個人的な事情」を理由に韓国を去った。

 韓国国内の大学教授全体のうち、外国人が占める割合は2000年の時点で2.4%、1021人だったが、今年は7.7%、5358人へと大きく増加した。
 ところがそのうち今回のように1年以内に退職するケースは決して珍しくないという。
 数年前にはソウル大学考古美術学科に任用された米国人女性教授が、学期途中に連絡もせず突然帰国したケースもある。

 外国人教授の多くは家族と共に韓国に滞在することを希望する。
 しかし家族の面倒まで見られる大学は決して多くない。
 例えば子どもが通うインターナショナルスクールの数は、人口700万人の香港には70校あるのに対し、韓国は50校以下だ。
 教授本人もハングルで書かれた文書が読めず、韓国語だけで行われる教授会議にも加わることができない。
 また何よりも大きな障害は、英語で自由なコミュニケーションができない大学の環境にあるようだ。
 修士課程、博士課程に通う大学院生でさえ外国人教授の講義を避ける傾向があるため、研究室の正常な運用にさえ困難を感じる外国人教授も非常に多い。
 ちなみにサージェント教授が担当したマクロ経済学特講の場合、受講者の数はわずか21人。
 ちなみにこの講義の定員は250人で、受講申請率はわずか8.4%だった。

 設立からわずか20年の香港科技大がアジアでの大学ランキング1位となった秘訣(ひけつ)は、教授のうち80%を30カ国の研究者とする果敢な国際化にあった。
 オーストリアの名門国立大学であるウィーン大学は、教授のうち3分の2を外国人とするよう法律で定めている。
 韓国の大学も世界との競争で生き残るには、海外に向けてそのドアをさらにオープンにする必要があるだろう。それには大学が招聘した外国人教授たちが短期間で韓国を去る根本的な理由を突き止め、政府の協力を得ながらその対策を取りまとめていかねばならない。




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