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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/14 07:33
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/14/2013111400328.html
【社説】過去最高の経常収支黒字、求められる対応策
韓国開発研究院(KDI)は今年の経常収支黒字が過去最高の690億ドルに達すると予想した。
日本は今年の経常収支黒字を600億ドルと見込んでおり、黒字幅は史上初めて日本を抜き去ることになる。
新興国のうち、経常収支が赤字のブラジル、インドネシア、インドなどは、今年に入り外国人投資家が大挙して資金を引き上げたため、経済が揺らいでいる。
一方、韓国は株式・債券市場に外貨が流入し過ぎて、対応に苦慮するほどだ。
経常収支黒字が増えたおかげで、韓国経済の対外信頼度も高まり、国際金融市場の不安に打たれ強くなった。
しかし、経常収支黒字が増えたことを喜んでばかりはいられない。
今年1-9月の黒字は前年同期比1.3%増えた半面、輸入は1.9%減少した。
企業の設備投資と消費が不振で、原材料や工場設備の輸入が減ったため、輸出が足踏み状態でも黒字幅が拡大したもので、「不況型黒字」と言える。
未来のための投資をせず、黒字ばかり増えれば、景気回復が遅れ、成長潜在力が低下しかねない。
日本は1991年から2010年まで年平均1300億ドルという巨額の経常収支黒字を上げたが、企業の投資と消費が回復せず、長期不況から脱却できなかった。
経常収支黒字が拡大すれば、通商摩擦と為替紛争を招きかねない。
米財務省は最近、議会に提出した報告書で、
「韓国政府が外国為替市場に介入することを懸念する」
と指摘し、ウォンが一段高となるよう圧力をかけた。
韓国政府は手遅れになる前に経常収支黒字を適正水準で管理する方策を考えるべきだ。
大企業が輸出で受け取った資金を内部留保せず、投資に回させる思い切った対策も求められる。
過去の通貨危機の原因がドル資金不足だったとすれば、
今回はドル資金の過剰で危機に直面しかねない。
韓国政府は経常収支黒字が過去最高に達した新たな局面に見合った経済政策を立てなければならない。
』
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/17 09:10
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/17/2013111700230.html
【コラム】韓国式オーナー経営の危機
韓国の有力経済団体、全国経済人連合会(全経連)で2カ月ごとに企業グループの会長を集めて行われる「会長団会議」が最近閑散としているという。
全経連の常勤副会長を除くメンバー20人のうち、9月の会議に出席したのは6人だけだった。
14日に開かれる今年最後の会議も状況は変わりそうにない。
財閥オーナーの多くが会議に出席できない立場にあるからだ。
SK、ハンファ、CJの各グループの会長は、横領、背任などの罪で裁判を受けている。
検察による捜査や国税庁による税務調査で屈辱を味わっている企業も少なくない。
STX、東洋の両グループが経営破綻したのに続き、他の中堅企業グループも要注意リストに顔を出している。
その上、サムスン電子を除けば、健全な企業がなかなか見つからないほど、主要輸出企業の業績が悪化した。
金融危機以降、6年間続く世界経済の低迷で、韓国企業の体力は底を突いた状態だ。
そうした中、「経済民主化」の流れで、大企業に対する規制が強化され、大企業の負担が増している。
内憂外患の状況で企業経営者らは毎日、薄氷を踏む思いだ。
しかし、全経連の会長団会議の空席は、韓国式オーナー経営の危機を示しているともいえる。
裁判などで苦境に追い込まれた財閥オーナーが多いという事実ではなく、オーナーの役割を代行する人物がいないということの方が深刻な問題だ。
企業グループは専門的な経営陣を育成できていない。
財閥オーナーに全ての権限が集中しているため、オーナー自らが経営を指揮できなくなると、たちまち企業の基盤が揺らぎかねない。
いわゆる「オーナーリスク」だ。
実際にオーナーが逮捕、収監され、経営トップが空席となった企業グループは経営が困難に直面している。
日常的な業務はそれなりに回っているが、新規投資はほとんどなされておらず、海外受注にも影響が出ている。
残された経営陣は、数兆ウォン(数千億円)規模の重要プロジェクトに対して決定を下したことがなく、そんな権限もない。
そのため、経営担当者がどれだけいても、オーナー1人の空白を埋められない。
サラリーマン社長が多く、真の専門経営者はまれだと言われるゆえんだ。
さらに以前のように、国家経済に対する貢献度に基づき、政府や裁判所が財閥オーナーに対する寛大な処分を下すことも期待できない雰囲気だ。
企業を見詰める国民の視線が変わり、裁判所も厳格な判決を下すようになった。
今後の特赦を期待しにくくなる可能性もある。
オーナーの空白が長期化し、それによってオーナーリスクが高まりかねない。
現在のようなオーナーによる単独支配体制では、それは企業の存立を脅かしかねない問題だ。
そうかと言って、オーナー経営から脱却し、専門的経営者による経営体制に移行すればよいというわけでもない。
オーナーと専門的経営者にはそれぞれ長所、短所があり、どちらが優れているとはいえない。
韓国の半導体、携帯電話、造船、自動車などの産業が世界的なレベルに達したのは、長期的な視点で果敢かつ迅速な投資決定を下したオーナー経営が力を発揮した結果だ。
しかし、オーナーの誤判断や不在に伴うリスクが過去に比べはるかに高まっている現実も受け止める必要がある。
オーナー経営の長所を生かし、弱点を補う方策を探るべきだ。そのためには、専門的経営者の権限と役割が変わる必要がある。
韓国的経営モデルのニューバージョンの登場が待たれる。
』
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聨合ニュース 2013年 11月 22日(金)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/11/21/0200000000AJP20131121004100882.HTML
対外依存度さらに高まる=韓国経済
【ソウル聯合ニュース】
韓国経済で輸出入が占める割合が34%に迫り、
韓国経済の対外依存度がさらに高まったことが分かった。
韓国銀行(中央銀行)が22日に発表した「2011年産業連関表」によると、韓国の財貨及びサービスの総供給額は4126兆2000億ウォン(約391兆円)で、2010年に比べ10.5%増加した。
総供給額は国内生産額に輸入額を加えたもので、経済規模全体を測る目安となる。
2011年の総供給額のうち輸出入が占める割合は33.7%で2010年に比べ0.8%上昇した。
輸出入の割合は2008年に初めて30%を超えて34.1%を記録し、2009年には31.8%に落ちたが、2010年には32.9%と再び上昇に転じた。
最終需要で輸出が占める割合も36.6%と1.5%上昇した一方、消費(44.3%)は0.8%低くなって投資(19.1%)も0.6%下がった。
生産額を基準にした全産業に締める製造業の割合は52.2%で2.0%上昇したが、サービス業は36.5%で1.2%下がった。
国内産業の付加価値の総額は1213兆6000億ウォンで5.3%増えたが、総投入額(総産出額)に対する付加価値率は35.4%で1.5%下がった。
中間材の投入で輸入品の割合が増えて韓国内の比率が落ちた影響などが作用した。
輸入中間材の投入率は2005年の13.9%から2009年15.6%、2010年16.3%と続き昨年には16.8%に高まった。
民間シンクタンクのウリィ金融経営研究所は製造業の輸入中間材の投入比率が2011年に25.0%に高まったことを指摘し、
「輸入中間材の投入比率が上がれば同じ製品を作っても、国内資本と労働に分配される付加価値が減る」
と説明した。
』
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 08:34
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300420.html
韓国の消費性向72.2%、不況型黒字の規模拡大
韓国の家計消費状況調査で
「所得は増加しているが支出は増やさない」
という「不況型黒字」の規模が拡大していることが分かった。
将来への不安から、消費する余力があっても支出を減らしているのが原因とみられる。
韓国統計庁が22日に発表した今年の第3四半期(7-9月)の家計動向によると、家計の可処分所得に占める消費支出の割合を示す平均消費性向は72.2%で、過去最低だった昨年の第4四半期(71.8%)に次いで2番目に低かった。
平均消費性向が低いということは、所得に比べて支出が少ないことを意味する。
今年の第3四半期は、支出に回せるのが100万円あっても実際に支出したのは72.2万円だったということになる。
富裕層の方が支出を抑える傾向にあることも分かった。
所得別に五つの階層に分けた場合、下位2階層(所得下位40%)では平均消費性向の数値が上昇したが、上位3階層(所得上位60%)ではいずれも数値が減少した。
平均消費性向は世界金融危機が発生した2008年でも75%で、09-11年は77%前後を維持していたが、昨年から下降に転じている。
』
朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 08:34
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300420.html
韓国の消費性向72.2%、不況型黒字の規模拡大
韓国の家計消費状況調査で
「所得は増加しているが支出は増やさない」
という「不況型黒字」の規模が拡大していることが分かった。
将来への不安から、消費する余力があっても支出を減らしているのが原因とみられる。
韓国統計庁が22日に発表した今年の第3四半期(7-9月)の家計動向によると、家計の可処分所得に占める消費支出の割合を示す平均消費性向は72.2%で、過去最低だった昨年の第4四半期(71.8%)に次いで2番目に低かった。
平均消費性向が低いということは、所得に比べて支出が少ないことを意味する。
今年の第3四半期は、支出に回せるのが100万円あっても実際に支出したのは72.2万円だったということになる。
富裕層の方が支出を抑える傾向にあることも分かった。
所得別に五つの階層に分けた場合、下位2階層(所得下位40%)では平均消費性向の数値が上昇したが、上位3階層(所得上位60%)ではいずれも数値が減少した。
平均消費性向は世界金融危機が発生した2008年でも75%で、09-11年は77%前後を維持していたが、昨年から下降に転じている。
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JB Press 2013.12.04(水)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39338
韓国、過去最大の経常黒字でも喜べない事情ウォン高、
投資減少で産業界で高まる警戒感
2013年11月28日、韓国銀行(中央銀行)が2013年10月の国際収支速報値を発表した。
絶好調の輸出に支えられて経常黒字額は月次ベースで過去最高の95億1000万ドルとなった
。2013年通年では、原子力発電所の稼働停止で原油や天然ガスの輸入が急増している日本の経常黒字額を初めて上回ることが確実な情勢だ。
韓国にとっては喜ばしいはずの発表だが、産業界は逆に警戒感を強めている。
■商品収支の黒字が急増、万年赤字だったサービス収支も黒字転換
2013年に入って韓国の経常収支黒字額が急速に拡大している。
5月以降の黒字額を見ると、5月が86億4000万ドル、6月が72億4000万ドル、7月が67億7000万ドル、8月が56億8000万ドル、9月が65億4000万ドルとなり、10月には5月の最高額を更新した。
10月の黒字額は前年同月比50%増だった。
最大の牽引役は、スマートフォン、乗用車に代表される商品収支の黒字急増だ。
10月の商品収支黒字額は70億ドルを突破した。
さらに万年赤字続きだったサービス収支や旅行収支も黒字に転換している。
サービス収支は、特に海外での建設工事受注急増に伴う受取額の急増が牽引役になっている。
また、旅行収支は、中国人観光客の増加で、小幅ながら黒字に転換している。
2013年の経常収支の黒字額も上方修正が続いている。
つい2カ月ほど前に、黒字額が600億ドルを超えるという予測が出たが、これが630億ドルになり、12月初めの現時点では700億ドルに達するという見方が広まってきた。
日本の経常収支黒字額は、600億ドル+αと見られ、2013年には史上初めて韓国の経常収支黒字額が日本を抜くことが確実だ。
もちろん、経常収支の黒字額が単純に経済力を示すわけではまったくない。
だが、韓国にとっては、経常収支黒字額で日本を抜くなど数年前には想像もできなかったことだ。
■史上初の「日韓逆転」の大ニュースでも、今回は浮かれた報道なし
5年前の2008年を振り返ってみよう。
日本の経常収支黒字額は1470億ドル。韓国は328億ドルだった。
そもそも韓国が黒字に転じたのは1980年代半ばだ。
その後、1990年代になっても黒字と赤字を行ったり来たりしていた。
日本は一貫して1000億ドル以上の黒字を計上しており、圧倒的な差があったのだ。
日本の経常黒字額が急減しているという事情があるにせよ、「日本を逆転する」は、韓国では最も大きなニュースになるはずだ。
半導体やカラーテレビ市場での世界シェア、信用格付けなど、「日韓逆転」の経済ニュースは、メディアで大々的に報じられてきた。
ところが、「経常収支の逆転」は一部テレビニュースが詳しく報じたが、総じて「淡々とした」トーンだ。
それどころか、「過去最高の経常収支を警戒せよ」という論調が目立つ。
浮かれた受け止め方はほとんどないと言ってよい。
どうしてか。
特に韓国の産業界で「悪いことの前兆ではないか」との意識が強いためだ。
その理由はいくつかある。
1つには、「経常収支黒字額が過去最大」とは言うが、その中身を一皮めくって見ると、決して楽観できる内容ではないのだ。
当たり前の話だが、貿易やサービスの収支の差が「黒字額(または赤字額)」だ。
韓国の経常黒字拡大は、スマホや乗用車の輸出が増えたことが大きな要因だが、もう1つ、大きな理由がある。
赤字額がさほど増えなかったのだ。
韓国銀行の統計を見ると、2013年10月の商品輸入は前年同期比5%増の456億ドルだった。
伸び率自体が黒字額の伸びに遠く及ばない。
2013年1~10月の累計で見ると、前年同期比で1.2%減となっているのだ。
■輸入の低調によるところが大きい「不況型黒字」
これはどういうことか。
韓国は一般的に言えば、日本などから部品や素材、生産設備などを輸入して完成品を組み立てて輸出するという構造だ。
輸出が急増しているのに輸入がそれほど伸びていないのは、
「必要最低限の部材の輸入はするが、生産設備などの輸入は控えているから」(韓国紙デスク)だ。
つまり、将来の生産増や雇用拡大につながる設備投資は増えていないということだ。
統計を見ると、2013年1~6月(上半期)の設備投資は前年同期比で8.2%のマイナスとなっている。
7~9月期には同1.8%増となったが、商品輸出の伸びに比べるとまったく弱い水準だ。
設備投資と並んで国内消費も引き続き弱く、これも「輸入低調」の大きな要因となっている。
だから、韓国の産業界では、2013年の経常収支拡大を「不況型黒字」と呼ぶ向きもあるのだ。
サムスン電子や現代自動車の活躍で、スマホや乗用車の輸出は確かに増えてはいる。
海外建設工事も受注が拡大している。
中国人観光客も多い。
こういう経済へのプラス効果もあるが、投資も消費も弱く、これが輸入を停滞させ、結果的に黒字額をさらに膨らましたのだ。
韓国銀行が10月の国際収支統計を発表した翌日(11月28日付)の「毎日経済新聞」の社説のタイトルもだから「史上最大の黒字に隠れた危険信号を読み取れ」となっている。
もう1つ、産業界がもっと警戒していることがある。
経常収支の黒字額が拡大していることで、「ウォン高」がじわじわと進行しているのだ。
輸出依存度が高い韓国の産業界が最も嫌うのが「ウォン高」だ。
「親大企業・財閥」を掲げた李明博(イ・ミョンバク)政権は、だから露骨なほどに「ウォン安」誘導を図った。
ところが、2012年後半から状況は一変している。
「1円=14ウォン」前後で推移していた、円/ウォンレートは、2013年に入って1円=11ウォン前後が定着していた。
経常黒字の増大が定着したこともあり、最近は1円=10ウォンの水準に近付きつつある。
「韓国経済新聞」は11月29日付の1面トップで「サムスン電子、現代自動車、ウォン高非常経営」という記事を掲載した。
両社ともに現在策定中の2014年の経営計画で大幅なウォン高を前提とした「非常体制」に突入したという内容だ。
この記事によると、両グループを含めた韓国の30大グループの「想定為替レート」は、2013年には「1ドル=1089.1ウォン」「1円=12.11ウォン」だったが、2014年は「1ドル=1069ウォン」「1円=10.74ウォン」に変更したという。
ドルに対してより円に対する変動幅が大きく、これが自動車や鉄鋼の世界市場での競争力に大きな影響を与える恐れがあるという。
■企業は足元の業績確保で精一杯
では、また「ウォン安誘導」に戻ればいいのか。
そうもいかない。米政府はここ数年、韓国政府の為替介入に関心を持ち、各種報告書の発表などで韓国政府を牽制している。
韓国政府も、為替操作という疑惑を持たれないよう、「為替水準は市場に委ねる」という方針を繰り返している。
「過去最大の経常収支は、もちろん、よいニュースではある。
だからといって諸手を上げて喜べるかと言われると、まったくそうでもない。
それどころか、自分の会社の足元の業績確保で精一杯だ」。
韓国のある大企業役員は、こう語っていた。
玉置 直司 (たまき・ただし)Tadashi Tamaki
日本経済新聞記者として長年、企業取材を続けた。ヒューストン支局勤務を経て、ソウル支局長も歴任。主な著書に『韓国はなぜ改革できたのか』『インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の履歴書』(取材・構成)、最新刊の『韓国財閥はどこへ行く』など。2011年8月に退社。現在は、韓国在住。LEE&KO法律事務所顧問などとして活動中。
』
JB Press 2013.12.04(水)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39338
韓国、過去最大の経常黒字でも喜べない事情ウォン高、
投資減少で産業界で高まる警戒感
2013年11月28日、韓国銀行(中央銀行)が2013年10月の国際収支速報値を発表した。
絶好調の輸出に支えられて経常黒字額は月次ベースで過去最高の95億1000万ドルとなった
。2013年通年では、原子力発電所の稼働停止で原油や天然ガスの輸入が急増している日本の経常黒字額を初めて上回ることが確実な情勢だ。
韓国にとっては喜ばしいはずの発表だが、産業界は逆に警戒感を強めている。
■商品収支の黒字が急増、万年赤字だったサービス収支も黒字転換
2013年に入って韓国の経常収支黒字額が急速に拡大している。
5月以降の黒字額を見ると、5月が86億4000万ドル、6月が72億4000万ドル、7月が67億7000万ドル、8月が56億8000万ドル、9月が65億4000万ドルとなり、10月には5月の最高額を更新した。
10月の黒字額は前年同月比50%増だった。
最大の牽引役は、スマートフォン、乗用車に代表される商品収支の黒字急増だ。
10月の商品収支黒字額は70億ドルを突破した。
さらに万年赤字続きだったサービス収支や旅行収支も黒字に転換している。
サービス収支は、特に海外での建設工事受注急増に伴う受取額の急増が牽引役になっている。
また、旅行収支は、中国人観光客の増加で、小幅ながら黒字に転換している。
2013年の経常収支の黒字額も上方修正が続いている。
つい2カ月ほど前に、黒字額が600億ドルを超えるという予測が出たが、これが630億ドルになり、12月初めの現時点では700億ドルに達するという見方が広まってきた。
日本の経常収支黒字額は、600億ドル+αと見られ、2013年には史上初めて韓国の経常収支黒字額が日本を抜くことが確実だ。
もちろん、経常収支の黒字額が単純に経済力を示すわけではまったくない。
だが、韓国にとっては、経常収支黒字額で日本を抜くなど数年前には想像もできなかったことだ。
■史上初の「日韓逆転」の大ニュースでも、今回は浮かれた報道なし
5年前の2008年を振り返ってみよう。
日本の経常収支黒字額は1470億ドル。韓国は328億ドルだった。
そもそも韓国が黒字に転じたのは1980年代半ばだ。
その後、1990年代になっても黒字と赤字を行ったり来たりしていた。
日本は一貫して1000億ドル以上の黒字を計上しており、圧倒的な差があったのだ。
日本の経常黒字額が急減しているという事情があるにせよ、「日本を逆転する」は、韓国では最も大きなニュースになるはずだ。
半導体やカラーテレビ市場での世界シェア、信用格付けなど、「日韓逆転」の経済ニュースは、メディアで大々的に報じられてきた。
ところが、「経常収支の逆転」は一部テレビニュースが詳しく報じたが、総じて「淡々とした」トーンだ。
それどころか、「過去最高の経常収支を警戒せよ」という論調が目立つ。
浮かれた受け止め方はほとんどないと言ってよい。
どうしてか。
特に韓国の産業界で「悪いことの前兆ではないか」との意識が強いためだ。
その理由はいくつかある。
1つには、「経常収支黒字額が過去最大」とは言うが、その中身を一皮めくって見ると、決して楽観できる内容ではないのだ。
当たり前の話だが、貿易やサービスの収支の差が「黒字額(または赤字額)」だ。
韓国の経常黒字拡大は、スマホや乗用車の輸出が増えたことが大きな要因だが、もう1つ、大きな理由がある。
赤字額がさほど増えなかったのだ。
韓国銀行の統計を見ると、2013年10月の商品輸入は前年同期比5%増の456億ドルだった。
伸び率自体が黒字額の伸びに遠く及ばない。
2013年1~10月の累計で見ると、前年同期比で1.2%減となっているのだ。
■輸入の低調によるところが大きい「不況型黒字」
これはどういうことか。
韓国は一般的に言えば、日本などから部品や素材、生産設備などを輸入して完成品を組み立てて輸出するという構造だ。
輸出が急増しているのに輸入がそれほど伸びていないのは、
「必要最低限の部材の輸入はするが、生産設備などの輸入は控えているから」(韓国紙デスク)だ。
つまり、将来の生産増や雇用拡大につながる設備投資は増えていないということだ。
統計を見ると、2013年1~6月(上半期)の設備投資は前年同期比で8.2%のマイナスとなっている。
7~9月期には同1.8%増となったが、商品輸出の伸びに比べるとまったく弱い水準だ。
設備投資と並んで国内消費も引き続き弱く、これも「輸入低調」の大きな要因となっている。
だから、韓国の産業界では、2013年の経常収支拡大を「不況型黒字」と呼ぶ向きもあるのだ。
サムスン電子や現代自動車の活躍で、スマホや乗用車の輸出は確かに増えてはいる。
海外建設工事も受注が拡大している。
中国人観光客も多い。
こういう経済へのプラス効果もあるが、投資も消費も弱く、これが輸入を停滞させ、結果的に黒字額をさらに膨らましたのだ。
韓国銀行が10月の国際収支統計を発表した翌日(11月28日付)の「毎日経済新聞」の社説のタイトルもだから「史上最大の黒字に隠れた危険信号を読み取れ」となっている。
もう1つ、産業界がもっと警戒していることがある。
経常収支の黒字額が拡大していることで、「ウォン高」がじわじわと進行しているのだ。
輸出依存度が高い韓国の産業界が最も嫌うのが「ウォン高」だ。
「親大企業・財閥」を掲げた李明博(イ・ミョンバク)政権は、だから露骨なほどに「ウォン安」誘導を図った。
ところが、2012年後半から状況は一変している。
「1円=14ウォン」前後で推移していた、円/ウォンレートは、2013年に入って1円=11ウォン前後が定着していた。
経常黒字の増大が定着したこともあり、最近は1円=10ウォンの水準に近付きつつある。
「韓国経済新聞」は11月29日付の1面トップで「サムスン電子、現代自動車、ウォン高非常経営」という記事を掲載した。
両社ともに現在策定中の2014年の経営計画で大幅なウォン高を前提とした「非常体制」に突入したという内容だ。
この記事によると、両グループを含めた韓国の30大グループの「想定為替レート」は、2013年には「1ドル=1089.1ウォン」「1円=12.11ウォン」だったが、2014年は「1ドル=1069ウォン」「1円=10.74ウォン」に変更したという。
ドルに対してより円に対する変動幅が大きく、これが自動車や鉄鋼の世界市場での競争力に大きな影響を与える恐れがあるという。
■企業は足元の業績確保で精一杯
では、また「ウォン安誘導」に戻ればいいのか。
そうもいかない。米政府はここ数年、韓国政府の為替介入に関心を持ち、各種報告書の発表などで韓国政府を牽制している。
韓国政府も、為替操作という疑惑を持たれないよう、「為替水準は市場に委ねる」という方針を繰り返している。
「過去最大の経常収支は、もちろん、よいニュースではある。
だからといって諸手を上げて喜べるかと言われると、まったくそうでもない。
それどころか、自分の会社の足元の業績確保で精一杯だ」。
韓国のある大企業役員は、こう語っていた。
玉置 直司 (たまき・ただし)Tadashi Tamaki
日本経済新聞記者として長年、企業取材を続けた。ヒューストン支局勤務を経て、ソウル支局長も歴任。主な著書に『韓国はなぜ改革できたのか』『インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の履歴書』(取材・構成)、最新刊の『韓国財閥はどこへ行く』など。2011年8月に退社。現在は、韓国在住。LEE&KO法律事務所顧問などとして活動中。
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